過去ログ - 京太郎「もつものと、もたざるもの」
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987: ◆CwzTH05pAY[saga]
2013/04/12(金) 02:04:02.53 ID:sCm9yq7Io
「これから雪は強くなるそうですよ。早く帰った方がいいっすよ」
「わかってるんだけどね。外寒いじゃない? 帰るのめんどくさいのよ」
まるで恋人のようにストーブの間近に座り込んでいる先輩を見ていると若干の可笑しさを感じる。
麻雀やっているときや、全校生徒の前で話しているときなどあんなに凛々しいのに一歩離れるとこんなものだ。
俺のクラスにも憧れている連中がいるというのに全くもってガッカリ女子だ。
「……須賀君、今すごく失礼なことを考えたでしょ?」
「いえいえ、そんなことありませんよ?」
そして妙に鋭いのにも困ったものだ。
最初はビシビシ指摘されて動揺していたがもう慣れたものだ。
最近はこうやって流せるようになってきた。
「怪しいわねぇ」
「俺は正直さと誠実さが売りです」
訝しげに見る竹井先輩に自分なりにキリッとした表情を見せるが、何故か先輩は噴出した。
うん、よっぽどこの人の方が失礼だ。
「嘘ばっかり。正直や誠実っていうのは私のような人のことを言うのよ」
「寝ぼけてるならコーヒーでも入れましょうか?」
「言うわね……」
「先輩の後輩ですから」
「なるほど、立派に育ってくれてうれしいわ」
「えぇ。俺も素晴らしい先輩が居てくれて幸せです」
ふふふと二人で笑いあう。
全くもって慣れたやり取りだ。
そうしていると、ふと思い出したことがあった。
先ほどの話の流れ、2人っきりのこの状況。
……チャンスだ。
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