過去ログ - 京太郎「もつものと、もたざるもの」
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988: ◆CwzTH05pAY[saga]
2013/04/12(金) 02:05:34.72 ID:sCm9yq7Io
「そういえば竹井先輩。以前加治木先輩と麻雀したときのこと覚えてますか?」
「忘れるわけないでしょ。あれは悪夢よ」
露骨に嫌そうな顔をして返事をする竹井先輩。
まぁ、ダブリースッタンなんぞに振り込めば誰でもそう感じるだろう。
ともかく、覚えていてくれたのは幸いだ。思わず悪い笑みが浮かぶ。
俺はカバンからシャープペンとルーズリーフを取り出して先輩に突きつける証文を書き始めた。
竹井先輩は首をかしげながら見ている。
そして書き上がったそれを差し出しながら続けた。
「あの日の結果ってこうなってたと思うんですけど、間違いないですよね?」
『対局結果』
店員 73000
久 -23000
京太郎 25000
ゆみ 25000
「え、えぇ。そうね」
竹井先輩の顔が歪む。
どうやらあの事を思い出したようだけど最後まで追い詰めさせてもらおう。
これは俺の正当な権利だ。
「店員さんがトップ。先輩がラス。俺と加治木さんは当然同点ですが……俺のほうが上家なんですよ」
ニヤリと、我ながら悪い笑みが浮かぶ。
先輩は思わずたじろいて何かを言おうとするが、させるものか。
今は攻めの一手だ。
「つまり、俺が2位で加治木さんが3位」
「……それで?」
平静を装っているが動揺が隠せていないですよ、先輩。
声が震えてます。
「先輩、あの時言いましたよね。『私と加治木さんより順位が上ならご褒美あげる』と」
「う、うぐ」
「あの時はあまりの衝撃に忘れてましたけど……まだその『ご褒美』もらってないですよねぇ」
「しっかり覚えてたのね……」
ぼそっと先輩が呟く。
忘れるわけがなかろう。
思春期少年の性欲なめんな。
「当り前です。さぁ! パンツ! パンツ!」
「ちょ、ちょっと。やめて!」
囃し立てる俺に先輩は何とかごまかそうとしているようだ。
「あれ? 先輩さっき言いましたよね? 正直と誠実は私のような人間のことを言うって」
「あ、う……」
「約束、破るんですか。酷いなー先輩。酷い人だーショックだなー。信じていたのになー」
白い目で見ながら当てつけのように責めてやる。
先輩も自分の発言がもとになって居るとあっては強く否定できないのだろうか。
「わ、わかったわよ。見せてあげるわ」
最後には不承不承、といった感じで折れた。
内心ガッツポーズをしたことは言うまでもない。
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