912:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/03/10(日) 09:10:22.35 ID:nQ4y3AGI0
しかし、今ここに雪美はいない。
千世がどれだけ重荷に思おうが、リーダーであることは変わらない。
プログラムという状況下、自分の命だけならいざ知らず、千世に万一のことがあった場合には優人と葉瑠を道連れにしてしまう。
周りに頼ってばかりいられる状況では最早ない。
とはいえやはり人を引っ張るような行動力は千世にはない。
だからせめて優人や葉瑠が元気でいられるようにしたい。
ビスケット1枚で元気になってくれるのなら万々歳だ。
千世はビスケットを1枚口に入れながらデイパックに手を突っ込み、今度はイチゴ味のキャンディーの袋を取り出した。
「なあなあ、飴ちゃんいる?」
葉瑠と優人はきょとんとしていたが、顔を見合わせて笑った。
「お菓子ばっかじゃないのさ、千世ー」
「荻野ちゃんってばそんなお菓子好きキャラだったの?
どこの早稀ちゃんだよもー」
2人の笑顔を見て、千世もえへへっと笑った。
良かった、2人とも笑っとる。
プログラムやし笑ってばっかおれんのかもしれんけど、やっぱ人生笑っていられるんが1番やと思うから、平和な今くらい笑ってても良いやんな?
千世は空を仰いだ。
笑顔の優人と葉瑠を見て、ふとここにいない友人たちを思い出したのだ。
千世が今までいつも笑顔で過ごせたのは、優しく引っ張ってくれる雪美がいて、千世と以上にのんびりしていてたまにポカをする華那がいて、優しくて思い遣りのある古都美がいたからだ。
華那がもうこの世にいないだなんて信じられない。
きっと、どこかにいる雪美や古都美も千世と同じように悲しんでいることだろう。
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