過去ログ - 安価でシークレットゲーム5
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946:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/03/10(日) 09:54:59.43 ID:nQ4y3AGI0
村主環(女子12番)の双眸は、憎悪で煮え滾っていた。
1時間ほど前にようやく手に入れた銃――USSR マカロフを、目の前にいる憎悪の対象、西谷克樹(男子13番)に向けた。

 

先程、銃声を聞きつけて、もう1人の憎むべき相手、甲斐駿一(男子3番)を見つけたので、撃った。
4度も撃ったのに、逃げられた。
駿一と一緒にいた鳳紫乃(女子6番)に反撃されたことも原因だが、とにかく復讐を遂げることは叶わなかった。

しかし、神は見捨てていなかった。
ふと外を見ると、木にもたれ掛かっている人影が見えた。
近づいていくと、それが克樹であることがわかった。
環は自分の唇の端が上がるのがわかった。
楽しいわけではなく、怒りと憎悪に燃えたための、歪んだ笑みが浮かんだ。

「見つけた…逃がさない」

駿一は逃がしたけれど、今度は逃がさない。
そう、コイツだけは逃がしてはならない。
コイツは、確か“あの時”同じクラスにいた。
直接環に何かをしたわけではないけれど。

イジメに第三者なんていない……コイツの罪は、重い――

克樹は顔を上げた。
その動きの鈍さから、既にかなりの重傷を負っていることがわかる。

「す…ぐり……ッ」

息絶え絶え、といった感じだ。
駿一と紫乃にやられたのだろうか。
まぁ、関係ないけれど。
そして、今に至る。

「償え、自分の罪を」

マカロフの引き金を絞った。
一度、二度――
かちっという音が鳴った。
弾切れだ。

環は舌打ちをした。
しかし、まぁいい。
こんな死に損ない、2発で十分だ。

2発の鉛弾に胸部を貫かれた克樹は、驚くべき生命力を発揮していた。
まだ、生きていた。
虫の息であったけれども。
ごぼっと血を吐き出し、自分自身を汚していた。

環はつま先でだらんとなった克樹の腕を蹴った。
指先がぴくっと反応した。

「西谷、アンタ、わたしに何か言うこと、ない?」

そう言い、しゃがんだ。
耳を近づけないと、こんな半死人の声など聞こえないと思ったので。

事実、克樹の声は、小さく掠れていた。
それでも、聞き取ることが何とかできた。

「……ご…めん……」

環は少し驚いた。
望んだ言葉だったのだが、まさか、本当に謝ってくるとは思わなかった。
自分の殺される理由がわかっているということか。
わかっていたって関係ない、見て見ぬふりは、有罪だ。

「…わかってるんだね、アンタ。わたしがイジメを受けてたこと、知らないはずないもんね。アンタはわたしに何もしてない。…ううん、何もしてくれなかったんだ。だから、死ぬんだ、あたしに殺されて。呪うなら、過去の自分を――」
「助けて…やりたかったよ…」

環は溢れ出る言葉を止めた。
克樹が言った言葉を頭の中に入れ、考えた。
結果的に出たのは、嘲笑だった。

「ハッ、何、今更言い訳?見苦しいね、そんなに自分が可愛い!?」
「……助け…ようと…思ってた……けど……入院して……学校……行けなくて……退院したら……お前……もう……」

目を見開いた。
何それ、聞いてない、知らない。
それもそのはず、精神的に徐々に追い詰められていた環にとって、周りのクラスメイトがいるのもいないのも知ることが出来なかったのだ。


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