過去ログ - 安価でシークレットゲーム5
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980:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/03/10(日) 12:04:29.01 ID:nQ4y3AGI0
「あたしはすかさず淳子に歩み寄って言ったの。『一緒にみんなを探そう』って。でも淳子はそれに応じなかった…。淳子は私達と行動することを拒否したの…」
 直美は当然のことながら、智里もその話を聞いて呆然としていた。もちろん絵梨果もだ。
「なんで…? 淳子はなんで、私達と一緒にいたくないって思ってたの?」
 直美が美咲にくってかかるようにたずねると、美咲は再び絞り出すように話し出した。
「あたしももちろん淳子にその理由を聞いたよ。そしたら淳子こう言ったの。『彼を探しに行く』って…」
「加藤君ね。」
 智里が言った。加藤とは同じクラス3年A組の男子、加藤塔矢(男子4番)のことである。
 塔矢と淳子は2年の2学期から付き合い始めたカップルなのだ。あの2人の仲の良さに関しては絵梨果もよく知っていた。あの2人はクラスの誰もが羨むような、絵に描いたようにお似合いのカップルであった。
「確かに淳子が加藤君に会いたい気持ちは分かる。でも…でも…」
 直美も淳子の気持ちは察していたが、それでも何かが納得出来なかったようだ。
「淳子はその後泣きながらこう言ったの。『もしみんなに会えたらこう伝えてくれる? 私はもうみんなに会えないかもしれない。本当にごめんなさい』って…」
 美咲も話し終える頃には、目に涙をうっすらと浮かべているようだった。
「それが淳子が見つけた答えなんだよ。直美。私は別に淳子の考えは間違っているとは思わないよ。
 たしかに、淳子が私達よりも加藤君を選んだことは残念だけど、きっと淳子も悩んだんだと思うよ。だから泣いてたんだよ」
 智里が直美にむかってやさしく言った。絵梨果にはその時の智里の口調は、今までかつて無いほどのやさしい口調に聞こえた。
「淳子…」
 直美がつぶやいたのを最後に辺りに沈黙が訪れた。4人はその場に座り込んだまま誰も口を開こうとはしなかった。
 絵梨果は、こんな時にこの場にムードメーカーの淳子がいたら、どんなにみんなを元気づけようとしてくれるだろうかと、つい思ってしまった。しかしここには淳子はいないのだ。

「私、ちょっとトイレ行って来る…」
 突然直美が暗い表情のまま立ち上がった。突然の直美の発言に絵梨果以外の2人も動揺していた。
「直美。一人で行ったら危ないよ。もし誰かに襲われたりしたら…」
 美咲が当然の意見を投げかけた。
「そうよ。ろくな武器も持たないで一人で行くなんて危険よ」
 智里も意見するが直美はそれも聞かずに行こうとした。そこで絵梨果は直美に近づいてあるものを差し出した。
「直美、どうしても一人で行くんだったらこれ持って行ってよ」
 そう言って絵梨果が直美に差し出した物は、絵梨果に支給された銃、『ハイスタンダート・デリンジャー』であった。
「絵梨果…。気持ちは嬉しいけど、これは受け取れないわ。これがなかったら今度は絵梨果が危険だし。ちょっとトイレに行くだけなんだからこんなの受け取らなくても…」


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