過去ログ - 上条「ただいまー」フィアンマ「おかえり!」
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8: ◆2/3UkhVg4u1D[saga]
2013/03/01(金) 22:54:17.59 ID:mBThJV0c0

結局、良心の阿責に耐えかね、連れて帰ってきてしまった。
いいように押し付けられたのだろうとは思いつつも。
どうしてだか、見捨てる事が出来なかった。
こんな人間だからお人好しなんて評価をくだされてしまうのだろう、などと思いながら。
フィアンマは俺を見つめ、くい、と左手で袖を引く。

「何だよ」
「……名前」
「名前?」

覚えてないのかよ、と咎めそうになり。
記憶が無いのだ、と思い返した。
自分も記憶が無い以上、其の辺を問い詰めるのは酷だと身をもって理解出来る。
なまえなまえー、と言いながら、くいくいと引っ張ってくる。
本当に子供なのだな、と思った。
これが悪趣味な演技なら、ほんの少し位動揺の色が見える筈だ。

「上条当麻」
「…かみじょう」

上条、上条、と彼は何度か俺の名前を確かめるように舌先で転がした。
日本語が話せるのは、あくまで意味記憶一切合切が消えたのではなく、精神が逃避しているだけだから、だという。
フィアンマはしばらく俺の名前を繰り返し、そうして覚えたのか。
屈託の無い、純粋に子供のような明るい笑みを浮かべて呼ぶ。

「上条」
「はいはい、何だよ」
「どこいくんだ」
「お家ですのことよ」
「誰のおうち?」
「俺の。上条さんのお家」
「……」
「お前は今日から俺の家で暮らすの。わかったか?」
「…オッレルスお兄ちゃんは?」
「あの人は、…よくわかんねえ」

最初、トイレすら一人で出来なかったらしい。
教え込んだものの、一人ではやはり行け無いようだから夜中に起こされるかもしれない、との注意文句。
本当にペットか何かの譲渡かよ、と思いながら、家の中へ通した。



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