14:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/03/03(日) 22:13:15.24 ID:y8XKonFyo
「ぐっ」
体をひねってよけても、巨猿の拳は、響の体をかすめた。
直接に衝撃を受けずとも、ひっかけられた形で、彼女の体は先ほどよりさらに高い空中に放り出される。
「くっ」
くるくると回りながら吹っ飛ばされる響の体。
それがビルの壁に衝突したのを見て、真が声を上げた。
「響!」
がっと伸びる手が、ビルの壁に走る配管の一本を掴んだ。
そのまま弾かれて地に落ちそうな体を、片手で支える響。
「だ、大丈夫。油断しただけ!」
「本当かなあ……」
明るい声を返してくる響に、真は懐疑の目を向ける。
それはそうだろう。
彼女はガスか何かの配管に手をかけて、ようやく壁にひっかかっているに過ぎないのだから。
もちろん、その機を逃す巨猿ではない。
響が無事に伝い降りる前にと、そいつは、拳を振るった。
「あんまり……」
響のもう一方の手が配管にかかる。
両手を支点に、体を跳ね上げる響。
まるで体操選手さながらに、彼女の体は持ち上がり、きれいに伸びた。
「なめるなよっ!」
鉄棒の要領で、響は巨大な拳を避ける。
そのまま手を離し、勢いに乗って、彼女は巨猿の体の真ん前に落ちていく。
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