過去ログ - 【咲安価】　京太郎「……変、身ッ！」　１０クール目【仮面ライダー】 -SS速報VIP

過去ログ - 【咲安価】　京太郎「……変、身ッ！」　１０クール目【仮面ライダー】

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374:１ ◆B6xkwd67zxGJ[saga]
2013/03/07(木) 03:56:51.72 ID:aJET2M0zo

　奪った器具で、メモリを使った。
　ドーピングのように、己の身体を抜群に強化するもの。

　内木一太では、弱い。

　力が必要だった。ドーパントを止める力が。
　あの時の地獄を止める力が。力が欲しかった。
　もう二度と繰り返さない為にも、それが必要だった。なんとしても。

　それから、何人も殺した。
　ミュージアムの販売員を襲い、金を奪い、呼び出して、殺して、奪う。
　そんな日々の繰り返し。

　体には、様々なコネクタが増えていった。
　それが、疼く。どくんどくんと、疼く。
　疼きはあの日の叫びだった。あの少女の悲鳴だった。慟哭だった。哀願だった。

　だから――殺した。

　ミュージアムの販売員を。ドーパントを。
　殺して殺して、殺し続けた。ひたすら殺した。殺しまくった。殺し続けた。

　そんなある日――自分は。
　あの、テラーと出会う。恐怖の帝王と。
　そして、彼を前にして――内木一太は、もう一度死ぬのを感じた。

　あのメモリには勝てない。
　絶対に勝てない。テラーは倒せない。
　そこには絶望しかなかった。あの日のごとき大いなる絶望しか。

　そして、彼から問われた。服従か、死かを。

　本来ならば即座に殺しているところだが、ある事情の為に殺されなかった。
　殺されたメモリの販売員の数名は、会社に対して背徳行為を行っていた。
　たとえばメモリの代金を着服したり、メモリと引き換えに性行為に及んだり。

　なるほど――確かに。
　販売員の家に金が溜め込まれていたり、あるいはそのパソコンに画像データがあったり。
　そんな事が、色々とあった事を覚えていた。

　彼はだから、ミュージアムに損害を与えたという意味で内木一太は殺されるべきだが。
　ある意味で、ミュージアムに貢献したとも言えると呟いた。

　そして、内木一太の行動を鑑みた上で。

　その能力をミュージアムの為に生かすのならば、殺さずに済ませると言った。
　自分に刃向かわなければ。ミュージアムの害にならなければ。
　内木一太の命は、保障しようと言われた。

　この日、再び死んだ。

　悪の首魁と差し違える事が出来ずに。己の学園の生徒に害をばら撒く病の根源を倒せずに。
　頭を垂れて、配下に降る事を甘んじた。
　でもいつか、テラーを倒してやる。超えてやると。

　そんな風に、惨めな自分の遺体を慰めながら。

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