過去ログ - 【咲安価】　京太郎「……変、身ッ！」　１０クール目【仮面ライダー】 -SS速報VIP

過去ログ - 【咲安価】　京太郎「……変、身ッ！」　１０クール目【仮面ライダー】

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432:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/03/07(木) 07:37:46.91 ID:NMRpKHbs0
「あら、貴瑛ちゃん、もう終わったの？」

おっとりとした口調で聞いてきたのは、近隣でかなう相手はいないだろうと思われるほどの金持ちを親に持つ畠山和華（女子１７番）。
趣味はお茶とお花という、名前に劣らない和風のお嬢様である。
とても大人しく、嫌味っぽいところが全くないので、和華が誰かに妬まれているなどという噂は少しも聞いたことがない。

「うん、終わったみたい。
　部活頑張らなきゃいけないなぁ…」

「頑張って、貴瑛ちゃん！
　あたし差し入れ作るよ！」

和華の向かいで声を上げたのは、生まれつきのウェーブの掛かった茶髪と色白の肌が人形のようである薮内桃子（女子１９番）。
気を許せる相手以外が話し相手になればほとんど物言わぬ人形のようになってしまうが、今はにっこりと微笑んで、あれがいいこれがいいとレパートリーを挙げている。

貴瑛は大人数の中で話をするのはあまり得意な方ではない。
クラス内で親友と呼べる女子は和華と桃子だけだが、それで充分だと思っている。

「あっ！」

貴瑛は声を上げた。
箸を床に落としてしまった。

「ごめん、ちょっと洗ってくるね」

席を立ち、廊下に出た。
水道で箸をきれいに洗い、蛇口を閉める。
戻ろうと踵を返した時、何かに思いっきり当たってしまった。
慌てて見上げると、それはクラスメイトだった。

「ご、ごめんなさい…」

「…あぁ」

クラスメイト――西谷克樹（男子１３番）は短く声を出し、そのまま階段の方へ歩いていった。
比較的クラス仲は良いが、その中で克樹は浮いている。
貴瑛自身、克樹の事は怖い。
クラス１の巨体と無愛想さ、そして何よりも顔に付いた切り傷。
噂では不良との抗争の際に付いたものだと聞くが、真相はわからない。

西谷くん、もっと笑ったらとっつきやすくなるかもしれな――

頭の中で克樹がニィッと笑みを浮かべる姿を想像し、慌てて掻き消した。
想像できない、それ程に克樹は無表情だ。

「…戻ろっ」

貴瑛は食べかけの弁当が待つ教室へ小走りで戻っていった。

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