過去ログ - 【咲安価】　京太郎「……変、身ッ！」　１０クール目【仮面ライダー】 -SS速報VIP

過去ログ - 【咲安価】　京太郎「……変、身ッ！」　１０クール目【仮面ライダー】

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558:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/03/08(金) 00:56:36.75 ID:eXxZahjZ0
「薬…どこに入れたっけ…」

蓮は自分のかばんを引き寄せた。
風邪薬や解熱剤は常にかばんの中に入れていた。
万が一の時のために。

あ、あった…
…ちょっと待って、確か凛ちゃんが…

蓮はカプセルと粉薬を１回分出したところで手を止めた。

『いい、蓮。
　この薬は“食後”なんだからね。
　何か食ってから飲みなよ？
　つーか病気になった時はとりあえず何かを口に入れときな』

前にそう言っていたような気がする。

「そうだ…食べ物…ってパンかぁ…やだなぁ…」

デイパックの中からパンと水を出した。
パンを一口だけかじった。それ以上は無理だった。
それを何とか水で流し込んだ。

無理…これ以上食べたら吐きそう…
ただでさえ僕はパン嫌いなのに…不味い…

こんなプログラムに選ぶんだったら、せめてご飯はおいしくしてほしいものだ。
まあ、今の体調では何ものどを通らない気もするが。

蓮は薬を一気に飲み込んだ。
胃の中からすべてのものが突き上がってきそうだったが、何とかそれは飲み込んだ。

『ほら、薬飲んだんだったらさっさと寝な。
　病気は体を温めて寝るのが１番の薬だよ』

いつも凛はそうやって無理に蓮をベッドに押し付けていた。
どんなに眠くないと反抗しても、起きることは絶対に許してくれない。

今、寝てる場合じゃないんだけど…
やっぱこういう時って寝るべきなんだろうな…
あ、でもその前に…

蓮は自分のかばんのポケットに手を突っ込み、携帯電話を出した。
これはいつでも家に電話できるように、と蓮に渡された物だ。
もちろん、今は家に電話をすることが出来ない（試しにやってみたが、畠案山子（担当教官補佐）が出てきたのですぐに切った）。
しかし、その他の機能は使える。
目覚まし機能を６時にセットしてバイブ設定にすると、枕の横に置き、ベッドに横になった。

体がふわふわしている感じがする。
しかし、頭がずきずきと痛み、思わず眉間にしわがよる。
鼻が詰まって息がしづらい。
咳が止まらない。

眠れない。

『何だ、眠れないのか？
　じゃあ、わたしが話でもしてやろうか？
　蓮は好きだよな、わたしの不良時代の話』

眠れない時は、いつも凛が話をしてくれた。
凛が不良グループと付き合いがあった頃の話が好きだ。
少し怖い感じがするが、それでも凛をかっこいいと思える。
そして、自分が知らない凛のことを沢山知ることができる。

しかし、今日は独りきりだ。
話をしてくれる凛はいない。

しばらく天井を見つめていたが、ふっと笑って目を閉じた。

僕、やっぱりいつも凛ちゃんといたんだね…
僕も中学３年生なんだ、１人で寝られなきゃダメだよね…
凛ちゃんが心配しちゃうよね…

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