過去ログ - 【咲安価】　京太郎「……変、身ッ！」　１０クール目【仮面ライダー】 -SS速報VIP

過去ログ - 【咲安価】　京太郎「……変、身ッ！」　１０クール目【仮面ライダー】

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719:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/03/08(金) 04:49:09.77 ID:eXxZahjZ0
教室に残っているのは康介を入れてたった４人だった。

「男子１９番、柚木康介君！！」

康介は進藤幹也（担当教官）に名前を呼ばれ、荷物を持って立ち上がった。

デイパックを受け取った後、教室を見渡した。
たった３人しかいない部屋は広く感じられた。
出口に近い席に座っている吉原遼（女子２０番）は、口許が僅かに吊り上がっているように見えた。
得体の知れない彼女の笑顔が恐ろしかった。
次に窓際から２番目・前から２番目に座っている脇連太郎（男子２０番）を見たが、彼は気だるそうにどこかを見ていた。
不良グループの１人だ、こちらも恐ろしい。
窓際の後ろの方に座っている結城緋鶴（女子１９番）は静かに目を閉じていた。
この状況にも拘らず、落ち着いているようだった。

皆…どうするつもりなんだろう…？

ぼんやりと考えていたが、進藤に促されたので教室を出た。

　

康介はとりあえず中学校のあるエリアを抜け、そこに腰を下ろした。

悲しい事に、既に銃声も聞こえていた。
戦いは始まっている。

「何でだろう…？
　クラスメイト同士が何で争うんだろう…？」

康介は暴力・争いが嫌いだった。
喧嘩をする不良グループの考えは理解できなかったし、好きではなかった。

そんな康介がプログラムに乗る事はあるはずが無かった。
当然人の死を考えるはずも望むはずも無かった。
無いはずだった。

その“本”を見るまでは。

『プログラム完全攻略本』、これがその本の名前だ。
これ１冊でプログラム完全攻略、優勝だって夢じゃない――冗談じゃない。

康介はその本を取り出し（かなり分厚くて重いので苦労した）、表紙を開いた。
こんな物に力を借りるのは何となく癪だったが、何か役立つ事が書いてあるかもしれないので。

目次の次にあった第一章には、プログラムという制度の成り立ちについてダラダラと書いてあった。
最初の２，３行は真面目に読んでいたが、この国の防衛がどうだの、総統のお言葉がどうだの書かれていて全く役に立ちそうではなかったので、ページを捲った（第一章で約３０ページあった。そのほとんどが総統の演説の全文だった、くだらない）。

第二章、生きるための基本行動術、これは第一章に比べてはるかに役立つ内容だった。
民家などで調達しておくと役立つ物、効果的な食事の取り方、より安全に睡眠をとるポイントなど、不覚にも真剣に読んでしまった。

第三章、生き残る為の戦術はあまり気が進まなかったが、とりあえず読んでみた。
上手な友達の騙し方・使い方、罠の張り方、人体の急所、対個人戦、対集団戦、[ﾋﾟｰｰｰ]べき人間・殺さないべき人間の判断の仕方など、争う気の全くない康介にとっては不要な章だった。

第四章には今回支給された全ての武器の詳細が書いてあった。
マシンガンからおもちゃのような物まで、色々な物がある。
願わくば、強力な武器は全くやる気の無い人に持っていてほしい。
そうすれば戦いの進行は遅くなるだろう。
遅くなったところでどうしようもないかもしれないが。

第五章には自分たち１人１人のおおよその能力値が書いてあった。
知力・体力・精神力・敏捷性・攻撃性・決断力の６つの分野に別れ、それぞれ“５”を最高値として出されていた。
こんなもの、特に精神力などというものは傍から見て全てがわかるようなものではないのでおおよその値だろうが、これは中々おもしろかったので、じっくりと見た。

自分の評価の低さには笑えた。
知力・体力・決断力は“２”（それが妥当だと思えてしまう自分が情けない）、精神力は“３”、敏捷性・攻撃性は最低の“１”だった。
攻撃性“１”という評価は嬉しかった。
争い事は嫌いだから絶対にプログラムには乗らないんだ、と再確認できた。

クラスメイトそれぞれの評価を見ていき、本の半分ほどきたところで、『付録』という表示が出た。

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