過去ログ - 【咲安価】　京太郎「……変、身ッ！」　１０クール目【仮面ライダー】 -SS速報VIP

過去ログ - 【咲安価】　京太郎「……変、身ッ！」　１０クール目【仮面ライダー】

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727:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/03/08(金) 04:55:45.60 ID:eXxZahjZ0
陽子の目は赤く充血していた。
寒気がした。

陽子は普段は明るい良い子だ。
ただ、精神面は強くないらしく、所属するテニス部の試合でも流れを持っていかれると自分のプレーが出来なくなるらしいし、テスト中でもわからない問題が多すぎるとパニックを起こしかけているのを見た事がある。

そんな陽子がプログラムという命を賭けた極限の状況でまともにいられるはずがない。
思えば、あの教室で進藤幹也（担当教官）が来る前に皆が騒いでいた時も、ヒステリックに叫び美作由樹（男子１８番）に咎められていた。

…狂っちゃったんだね、陽子――

無意識のうちにフライパンを握る手の力が緩み、それは弾き飛ばされた。

「ダメだよ、陽子…殺しちゃいけないんだ…正気に戻った時、後悔するのはアンタ自身なんだよ…？」
「[ﾋﾟｰｰｰ]…殺さなきゃ…っ」

もう、あたしの声は届かないんだね…
悲しいな、ダチに殺されるなんてさ…

陽子がテニスの素振りをするかのように、ナタを振った。

梢は苦々しい笑みを浮かべた。

ほら、元はと言えばこれも功一を探しに行こうとしたせいじゃないか…
やっぱりぶん殴ってやりたかったな…

あの、疫病神め――

　

　

陽子は肩で息をしながら、事切れた友人を見下ろした。
ナタの刃が見事に食い込んだ、半分ほど千切れてしまった首からは血が噴き出していた。

「こ…梢…」

胃の中の物が付き上がって来、その場に吐き出した。
途端に全身が震え出した。

梢が死んでる…
あたしが殺した…

『アンタを襲う気なんてないよっ！？』

う…そだ…　あたしを…[ﾋﾟｰｰｰ]気だったんだ…
後ろから…首、絞める気だったんだ…
だって…誰も信じたらいけないんだから――
でも……どうしよう……
あたし…人殺しになっちゃった……
怖い…怖いよぉ…っ

「うぅ…うああああぁぁぁああぁあ！！！」

陽子は奇声とも言える悲鳴を上げ、梢の首からナタを引っこ抜き、その場を走り去った。
その頬には、涙が一筋流れていた。

親友すら信じられなくなった陽子の脳裏には、４時間ほど前に見た衝撃の光景が焼きついていた。

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