過去ログ - マクロス・ノスタルジア
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11:>>1[saga]
2013/03/10(日) 12:57:02.30 ID:DZ1OCmmz0
◇◇◇


「可変戦闘機はまず、三つの形態に変形することができる」

 青年の講釈は続く。一応は目の前の席に座った女性相手にしているのだろうが、当の女性は何の興味もないという風に大きな欠伸などしていた。

「基本的な戦闘機形態であるファイター。格闘戦を目的とした人型形態であるバトロイド。そしてその中間であるガウォーク。
 ここで重要なのが、バトロイド形態でいうところの"脚部"に推進装置を組み込んであるってことだ」

 いいかい? と前置いて(女性は曖昧に頷いただけだったが)、青年は開いた掌を地面と平行になるように傾けた。

「この手をファイター形態だとして、中指と薬指が推進装置だとしよう。ここからジェット噴流が噴出して推力を得るわけだ。
 だけどこの推進装置はロボット形態時の足でもあるから……」

 青年が中指と薬指だけ折り曲げて見せる。

「こうして、飛行中に推進ノズルを大幅に稼働させることができる。つまり推力の向きを瞬時に変更できるわけだ。
 これにより、これまでの戦闘機と比べて機動性が格段に向上――いや、もはや別次元といっていいほどの変幻自在さを得ることができたんだ」

 ぶーん、と青年が滅茶苦茶に手を動かす。それが戦闘機の機動だというのなら、確実にパイロットは潰れて死んでいるだろうが。

 しかし、青年の説明は間違いではない。可変戦闘機を既存の戦闘機と比較した際、まず目に付くのはまさに変幻自在といって良い機動性である。

 非公式の情報故に未だ青年は知るまいが、先だってのマヤン島事件において、旧戦闘機は可変戦闘機の機動に対応できなかった。

 ドッグファイト、つまりは戦闘機による近距離戦闘においては、相手の背後を取った方が圧倒的に有利になる。

 つまりドッグファイトに強い戦闘機というのは、相手の後ろを取る為に機動性を引き上げた機体のことだ。

 より小回りに、より素早く加減速ができるように。

 従来の戦闘機はこの課題を、推力偏向ノズル――簡単に言えばジェット噴流を吐き出すノズル自体を可動させ、
 ジェット噴流の向きを偏向する仕掛けを装備することで解決しようとしてきた。(無論、それだけではないが)

 だが可変戦闘機はノズルの稼働に加え、機体に対するノズルの位置自体を変更できるという常識外れの機能を備えることで、
 まさにそれまでとは一線を画す機動性を実現したのである。

 急激な推力ベクトルの変更と、また、それに耐えることのできる機体強度を持つ可変戦闘機は、確かに空戦の王者としてその地位を確立しようとしていたのだ。


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