過去ログ - マクロス・ノスタルジア
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14:>>1[saga]
2013/03/10(日) 13:02:27.01 ID:DZ1OCmmz0

(あと少し――あと少し――)

 ガンポッドに被弾。誘爆して、マニュピレーターが吹っ飛んだ。背部に回された翼が脱落する。

 だが――

「――入った!」

 誇るべき統合軍の最新機体は、レーザーの有効距離に入るまで爆散することなく耐えて見せた。

 瞬時にトリガー。頭部に備え付けられたレーザー機銃が光弾を生み、実弾兵器には不可能な速度で飛翔。光の速度を、見て回避することはできない。

(――獲った)

 溢れるほどに分泌された脳内物質が、時間を引き延ばす。プルート1は、この瞬間、敵の機動を完全に掌握できていた。

 敵機は回避運動を取らない。まっすぐに突っ込んでくる。

 その深緑の機体に、レーザーが着弾した。一発目が食い込む。続いて、二発、三発、四発、五発――

 ――そこまで数えたところで、プルート1はようやく違和感を覚えた。
 
(なぜ――墜ちない?)

 VF-0に搭載されたレーザー機銃は、ほとんどミサイル迎撃用として用いられる。

 ファイター形態、とりわけエネルギーを消費する高機動戦闘中では、先に述べた出力の問題で満足に機動させられないからだ。

 またレーザー自体の出力も低い。仮にVF-O同士でレーザー機銃を撃ち合ったとしても、
 今のプルート1のように防御力を引き上げたガウォーク・バトロイド形態相手なら全く通用しないといって良い。

 それでも、あの敵には有効な筈だ。あの旧型の機体には――

(いや――違う!?)

 そこまで考えて、ようやく気付いた。

 相手の装甲に、全く損傷がない。あれはこちらと同じ、エネルギー転換装甲だ。

 それを敵は、VF-0でいうファイターモードで用いている!

 その事実に愕然とするプルート1の耳に、ハンガリー国歌に紛れて、太く低い、バリトンボイスが響いた。

『空は我らの領域だ。くれてやった地べたを這っていろ"脚付き"』

 それが敵機のパイロットからのメッセージだとプルート1が理解するのと同時に、VF-0が爆散する。

 争いの排除された空にはただ英雄の凱歌のように、ハンガリー国歌が響き渡っていた。

◇◇◇



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