過去ログ - マクロス・ノスタルジア
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8:>>1[saga]
2013/03/10(日) 12:54:40.78 ID:DZ1OCmmz0
◇◇◇


「可変戦闘機(ヴァリアブル・ファイター)は、革命さ!」

 店内に若者の叫び声が響き渡る。

 薄暗い、しかし清潔感のある酒場だった。カウンターからテーブル席、床からドアの取っ手にいたるまで、几帳面に磨きこまれている。

 若者の大声に片目をぴくりと震わせた年老いたマスターの向こうに見える酒棚には、高級酒が山と陳列されていた。

 さもありなん。ケストヘイは統合戦争が始まる前まではリゾート観光地として名高い土地だったのだ。
 当然、そこにある店舗も一定以上の質が求められる。

 その壁際の席に、声の主である青年は座っていた。テーブルの上には、既に空になった軽食の皿がある。

 見るからに嬉々とした有様で、もしも今が昼時をかなり過ぎた時刻でなければ白い目を向けられていただろう。

 だがあるいは、そんな視線が向けられても構わずに話し続けていたかもしれない。

 若者は明らかに興奮していた。鼻息も荒く、卵の黄身で汚れたフォークを振り回し、続ける。

「まさしく、革命さ――あらゆる局面にフレキシブル対応できる戦闘機だなんて。
 たった一機で制空権の確保、空中からの掃討、その後の地上制圧をこなせるんだ! これがどう言う意味かわかるかい?」

「……わからないわ」

 返って来た声の出所は、青年の対面に座っている女性である。
 青年と対照的に、冷静な――というかほとんど冷たいと形容されるような声。半眼で、興奮冷めやらぬという風に喚いている青年をぼんやりと眺めている。

 青年はその態度にもひるまず(目に入っていなかったのかもしれない)、説明を続けた。

「これからは可変戦闘機が戦場を支配するってことだよ! 迅速な侵攻が可能である可変戦闘機が、戦端を切り、前線を押し上げ、戦線を維持するのさ!」

 そんな未来の想像図を、全く疑っていないという様子で青年は宣言した。


◇◇◇


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