過去ログ - 咲の登場人物であるところの染谷まこに関する千夜一夜物語
1- 20
12: ◆nWvtlcp.cc[saga]
2013/03/07(木) 00:31:03.10 ID:6H/L0faPo
@エイプリルフール

今日は四月一日、エイプリルフールだ。
だから僕は嘘をつく。
染谷先輩を愛する心に、嘘をつく。

最初は不審がっていた部員の皆も、真面目に部活をこなすだけの僕を見て、安堵の表情を覗かせた。
一欠けなら僕が入りますよ。
愛の叫びをするでもなく、真面目に打つ僕に染谷先輩が声をかける。

「おんし、何かあったんか?」

え?何がです?
普段であれば染谷先輩に語りかけられた耳を千切り取って家宝にせんばかりの僕が、素っ気なくそう返すと、染谷先輩は、なんでもないわと黙ってしまった。

さすがの僕も染谷先輩と同卓していると、染谷先輩への愛を抑えることが難しくなってきたので、疲れたので抜けますねと仮眠用布団に横になることにした。
気を紛らわせるために、特に興味もない本をめくり続ける。
禁断症状のせいか、登場人物が全部染谷先輩に見えてきた。
エッチなシーンがある本はないだろうか。
僕が本棚を漁っている間、染谷先輩はちらりちらりとこちらに視線を送っていた。

部活も終わって皆が帰宅すると、部室に残ったのは僕と染谷先輩だけになった。
帰り支度をしている染谷先輩に、鍵は僕がやりますからと声をかけ、登場人物が染谷先輩だけになった本からエッチなシーンだけを読む作業に没頭した。

染谷先輩は戸に手をかけたところでこちらを振り向いた。

「本当に、何もないんじゃな?」

そう言う染谷先輩に、ええ、とだけ答えた僕は、挨拶をしていなかったことを思い出した。
さようなら、染谷先輩。
それを聞いた染谷先輩は寂しげに顔を歪めて、何も言わずに部室から出ていった。

一人になった僕も、エッチなシーン探しは切り上げて、帰ることにした。
今日は、疲れた。
明日は今日の分も愛を叫ぼうと決意し、染谷先輩を思いながら帰路についた。

明くる日、僕の愛の叫びを受けた染谷先輩が、なんで昨日はと問うてきたので、エイプリルフールの件を説明すると、涙目でぼこぼこにされた。

僕は悪くない。


<<前のレス[*]次のレス[#]>>
250Res/139.62 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice