過去ログ - 上条「いろんな能力で物語進める」 浜面「15スレ目上等ォおおおおお!!!」【安価】
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982: ◆gG3GD/FuOQ[saga]
2013/04/01(月) 00:50:41.94 ID:wcPTf+L/o

様々な景色が見えた。
おそらく彼女が子供の頃の記憶であろう、視点の低い景色。
天草式十字凄教という仲間。神裂火織という女教皇。

暖かい楽しい記憶も、冷たい残酷な記憶も全てが垣根のものになっていく。

彼女の人生はどうやらそれなりに厳しいものだったらしい。
特に最近は多くの仲間を失い、それでも戦い続けているようだった。
学園都市の天井亜雄と面識があった事も意外と言えば意外だった。

だが、それ以上に驚いたのは魔術というものの存在だった。
確かにそれは存在している。それは数多くの少女の記憶から分かった。

垣根は薄く笑う。
これは使える。そう思った。
例え自分自身が魔術を使うことができなくても、この情報は使いようがある。

五和「ぐっ……ぅぅ……!!」

垣根「ん、なんだ壊れてなかったかお前。つまんねえな」

五和「今……何を……」

垣根「知る必要はねえだろ」

そして、垣根は告げる。
背中から広がる翼に似合わない、どこまでも黒い表情で。


垣根「これからお前は“死ぬ”からな」


***


五和はこれから何が起きるのか、何となく理解できた。
もう、自分は自分でなくなる。

垣根「何か言い残すことはあるか?」

五和「…………」

垣根「けっ、つまんねえの」

少しでも目の前の男を楽しませる事はしたくない。
それに、何かを言う必要もなかった。大切な気持ちは、この胸の中に確かにある。

心残りはいくらでもある。
今まで失っていった仲間達の分まで、女教皇を支えていきたかった。
仲間達が死ぬまで貫いた教えを、これからも通していきたかった。

目を閉じれば、星空の下、仲間達の墓の前で悲しげな表情で立ち尽くす女教皇の姿が浮かんでくる。
もう二度と彼女にあんな表情をさせたくなかった。いつだって誰かの為に動いている彼女に、少しでも多くの笑顔を作ってほしかった。
戦争を止めて、またみんなで宴会なんかをして思い切り笑い合いたかった。死んでいった者達が安心するくらい、それは派手に。


――――それらは、一人の少女のみた、儚い夢だった。


***


先程まで居た施設から、垣根が出てくる。
必要な情報はかなり集まった。後は実際にC文書や神の右席といった者と接触し、さらに詰めるだけだ。
自分は確実に世界の先へと進んでいる。そう感じている。

これはおそらく、あの第一位にとってもまだ未知の領域であるはずだ。
つまり、その領域を自分のものにすることで、メインプランを超える可能性も出てくる。

垣根はじっとしていられないという様子で、真っ直ぐ教皇庁宮殿へと飛び立った。



窓から僅かに光が漏れ込む建物の中には、一人の少女が残されている。もう鎖で縛られている事もない。その必要がない。
彼女は光のない瞳を虚空へと向け、椅子に座っていた。その様子に人間味はない。
まるで蝋人形か何かのように、部屋にある机や椅子といったものと同じように、ただの背景の一部となっている。

頬に残る涙の跡だけが、彼女が幾百にも表情を変える人間だったという事を伝えていた。


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