850:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/07/10(水) 01:42:52.69 ID:wSnSqwBi0
進藤幹也(担当教官)が大声で叫んだ。
後ろの方ではガタガタと席に着く音が聞こえるが、前の方ではほとんどが立ち尽くしていた。
設楽海斗(男子10番)は曽根崎凪紗(女子10番)を抑えたまま、呆然と栗原佑(男子7番)の死体を見つめていた。
信じられない。
佑が、死んでいる。
目の前で。
海斗は一緒に凪紗を抑えていた不破千尋(男子17番)の方を見た。
千尋は瞬きもせず、佑の方を凝視していた。
涙はないが、ショックを隠せないでいる。
いつも、4人一緒だった。
互いの足りない部分を補い合っているような、そんな関係だった。
そのピースが、1つ欠けた。
「…凪紗、座ろう。 千尋も、大丈夫か…?」
海斗は2人に声を掛けた。
千尋は今までに見せた事のないような呆然とした顔で、海斗を見た。
「…千尋?」
「あぁ…うん、大丈夫…」
千尋はずれかけた眼鏡の位置を直し、自分の席に腰掛けた。
海斗は、もう一度凪紗に声を掛けた。
しかし、凪紗は何も言わない。
聞こえてすらいないようだった。
海斗は凪紗に腰を下ろさせ、自分もその前に座った。
佑の顔が、よく見える。
怒りに満ちたその目は、天井を睨んでいた。
全員が、座った。
机の大部分が佑の血で汚れた池田圭祐(男子3番)の顔は青ざめていた。
進藤は佑の死体には目もくれず、話し始めた。
「わかったかな? 首輪はこうなってしまうんだ!!
えっと…地図の話だったかな?
君たちに配る地図は、100マスに分けられているんだ!!
例えばここ、中学校はD=04エリア、という風になっている!!
そして、6時間ごとに定時放送を行う!!
その時に、禁止エリアというものを言うからな!!
時間になってもそこにいる死んだ者はそのまま…
だが、生きている者は、電波を送って…ボン!!
栗原君のようになってしまうから、注意しような!!
あと、怪しい行動を起こしても、こっちから電波を送る!!
首を飛ばされたくなければ、頑張って殺し合おうな!!」
突然、後ろの方で誰かが呻き声を上げた。
吐瀉物が床にぶちまけられる音がした。
それを聞いて、またどこかで誰かが呻き声を上げた。
それの臭いと佑の血の臭いが、教室を満たしていた。
気分が悪い。
最悪だ、すべて最悪だ。
「さあ、何か質問はあるかな!?」
「…どうしても、しないといけないんですか?」
後方から聞こえた声は、稲田藤馬(男子4番)のものだった。
何人かが頷いた。
しかし、進藤は希望を打ち砕いた。
「しないといけないぞ、もう決まった事だ!!」
予想通りの返事だ、捻りも何もない。
「どうして…何でオレらなんですか…?」
いつも穏やかな柚木康介(男子19番)が、泣きそうな声で言った。
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