888:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/08/05(月) 08:03:50.48 ID:868/ISGe0
E=04エリアの御神島小中学校は現在行われているプログラムの本部となっており、未だに田中顕昌(男子十一番)の亡骸が転がったままの6年生教室の隣の多目的教室は普通の教室の倍程の広さがあるのだが、今は多数のモニターや機材が運び込まれているためにそう広さを感じない。
「おー、怖い怖い」
つい先程まで動きのあった3班と6班のメンバーの盗聴(生徒たちがはめている首輪には盗聴機能が付いており、これで行動の詳細を知ることができる。もちろん、不穏な発言をする者を警戒することも可能だ)をスピーカーで聞いていたライド(担当教官)は、彼らの会話の内容を聞いた感想をそう表し、肩を竦めた。
「雨宮君、川原君、佐伯さん、山本さん退場…3班は全滅かぁ。
結構良いチームやってんけどなぁ、相手が悪かったな」
シン(軍人)がソファーに腰掛けて生徒資料をチェックしながら呟き、死亡が確認された雨宮悠希(男子三番)・川原龍輝(男子五番)・佐伯華那(女子七番)・山本真子(女子十九番)の資料をバインダーから抜き、報告書の作成の準備を始めていた。
向かいに座っていたアキヒロ(軍人)が、シンの抜いた資料を手に取り、「ふーん」と鼻を鳴らして眺めた。
アキヒロの手からライドはそれを取り、アキヒロの隣に腰掛けた。
「確かにバランスは良かったな。
佐伯さんの頭脳は勉強の面以外でもええ感じやし、雨宮君もおるし。
運動面なら万能な川原君と、サッカー推薦の雨宮君、山本さんも中々やしな」
「ま、武器が最悪だったね」
アキヒロが溜息混じりに呟くと、モニター前に座る軍人たちに指示をしていたエツヤ(軍人)の背中に向けて、声を掛けた。
「エツ君、もうちょっとバランス良い武器の渡し方できなかったの?
いくらなんでも3班の武器は気の毒だよ」
「え、俺!?
そんなん、俺のせいちゃうよ、別に中身確認して渡してへんやんか!」
エツヤは振り返りながら言葉を返すと、唇を尖らせながらライドたちの方に来ると、シンの隣にどかっと腰掛けた。
「エツくじ運悪いもんなぁ、でも自分のくじ運の悪さに子どもを巻き込んだらあかんわ」というシンの言葉に「それ関係あらへん!」と声を荒げて言い返すと、ライドの前に広げられた資料に視線を落とした。
「…まあ、確かになぁ…悪かったなぁ…俺のせいちゃうけど。
…あ、この子、川原…やっけ、ガンプラ当てたん!
確か作ったんやんなぁ、いっやーこの子マジ熱いな!
死んだのが惜しすぎるわ、ガンニョムについて語ってみたかったわぁ。
でもエキュシアな、エキュシアもえぇねんけどな、やっぱ赤ザキュよな!
赤い彗星ジャアの…あ、でもギュフもえぇよな、ザキュとは違うんだよザキュとは!
なんせ3倍の――」
「エツ、エーツ」
シンにファイルでぱこっと頭を叩かれ、エツヤは機動戦士ガンニョムについての熱いトークを中断し、またも唇を尖らせてシンを睥睨した。
「睨まんといてぇや、今仕事中やねんからガンニョムの話は後。
ほんまエツは昔っからガンニョム好きやもんな。
ジャア好きすぎて、ずっと赤いTシャツ着てたもんな、エツのおかん呆れてたわ。
『ジャア専用Tシャツやー』言うてはしゃいでなぁ…
そうそう、シャツだけやなくて、確かランドセルも――」
「わああ、もう、シンちゃん今その話いらんっ!!
もうせぇへんから、ガンニョムの話!!」
慌ててシンの口を押さえるエツヤの様子に、ライドはくくっと笑った。
アキヒロも溜息を吐いているものの、唇の端がくいっと上がっていた。
ライドとシン・エツヤとの出会いは専守防衛軍の養成学校に入って1年程経った頃だったのだが、シンとエツヤは幼馴染ということでいつもじゃれていた。
エツヤはライドやシンの1つ年下だというのにしょっちゅうシンのところに遊びに来るほどシンに懐いていたし、シンは昔からの付き合いの後輩ということでエツヤには少し厳しい面もあるのだが大切にしているのは見ていてすぐにわかった。
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