904:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/08/05(月) 09:47:18.82 ID:868/ISGe0
 日比野迅(男子十五番)と水田早稀(女子十七番)が休息を取っている民家から見ると北西に位置するE=06エリアに、迅と早稀が探し回っている対象である芥川雅哉(男子二番)と奈良橋智子(女子十一番)はいた。 
  
 「…トモー、ここは神社?」 
  
 「…みたいだね、鳥居があるし。 
  この階段の上が境内なのかなぁ…?」 
  
 雅哉と智子は目の前に立ちはだかる昇り階段を見上げた。 
 ぼんやりと浮かんで見える赤く古ぼけた鳥居、真夜中のため最初の数段以降は暗闇に飲まれているので階段が何段程あるのか確認はできないこと、“丑三つ時”に差し掛かる時間帯――怪談話に興味がなくとも、不気味さを感じずにはいられない。 
 智子自身、心霊番組などにはあまり興味がないのだが、さすがに怖い(もっとも、この現状では、何よりも恐ろしいのはクラスメイトなのだが)。 
  
 「…上がってみる……?」 
  
 雅哉を見上げて訊いてみたものの、語尾が震えてしまったことが情けなく、俯いてしまった。 
  
 「んー…あんま上りたくないかな。 
  しんどそうだし、不気味だし、早稀ちゃんたちがいそうなイメージないし」 
  
 智子が顔を上げると、「夜中の神社ってやだねー」と、雅哉は笑みを浮かべていた。 
 何だ、怖いのはわたしだけじゃなかったんだ――智子は安心して笑みを返した。 
  
 2人は5時間程前に、早稀がいるのではないかという予想をしてC=06エリアにある商店に行ったが誰もおらず(ただし、誰かが潜伏していた痕跡はあった。飲み食いをしたゴミが残っていたし、棚の商品も抜き取った跡があった)、交代で睡眠を取った後に商店を出て、道に沿って南下してきた。 
 1時間以上歩きっ放しだったため、階段の傍の茂みの中に入って腰を下ろした。 
  
 智子は隣で膝に顔を埋めている雅哉に目を遣った。 
 いつ誰に襲われるかわからない神経をすり減らし、ゆっくりと休むことも十分な睡眠を取ることも許されず、慣れない土地を動き回っている。 
 体力が人並みでが健康優良児である智子ですら辛い状況だ、身体の弱い雅哉が疲弊するのは当然で、智子の前では元気に振舞おうとしているが無理をしているのが目に見えてわかる。 
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