943:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/08/06(火) 06:17:44.62 ID:D/J1TKXp0
藁路文雄(男子22番)はペアの森川達志(男子20番)に声を掛けた。
達志は半泣きの状態でその場に蹲った。
「おい、タツ!
危ないって、こんなところで止まってたら…」
因みにここはD=07エリアにある山の麓だ。
ここは木がはげていて、周りから見たら一発で見つかるような場所だ。
「だって…俺怖い…
今のピストルの音で誰かが死んだんだよ、きっとっ!」
達志は文雄の幼馴染だ。
小さい頃から一緒に遊んだりした仲なので、達志についてはよく知っている。
達志はとても優しい少年なので、きっと今の銃声で死んだと思われるクラスメイトに心を痛めているのだろう。
心を痛めてるのは文雄も一緒だが。
文雄は達志の頭をポンッと軽く叩いた。
「わかってる、俺だって怖いし。
でもな、俺はまだ死にたくないし、お前にも死んでほしくないんだ。
和に手紙渡して合流できるようにしたから…
俺らはその場所に先に行かないとな」
「手紙…?」
「ああ、この島の1番東で落ち合おう…ってな。
和なら大丈夫だ、俺は信用できるし、タツもできるだろ?」
和――土谷和(男子10番)は、殺し合いができるような人間ではないと思う。
あの不良グループのリーダーの江原清二(男子3番)にさえ、気軽に話し掛けられるほど友好的な人間だ。
文雄とは席が前後だったこともあって、手紙を渡す事が出来た。
「できるだけ仲間を集めたいんだ。
信用できるヤツを集めて、脱出したい」
「だ…脱出!?」
達志が驚いて顔を上げたので、文雄は頷いてみせた。
脱出、確か何年か前に香川でそれをやってのけたヤツらがいたらしい。
政府が血眼になって探しても見つかっていない。
このクソゲームには、穴があるに違いない。
政府の言いなりになんかなるもんか!
文雄は養護施設で育った。
文雄が4歳くらいの時だったと思う。
それまでは普通に家で家族に囲まれて過ごしていた。
しかし、ある日突然政府の連中がオレの家にずかずかと入り込んだ(靴ぐらい脱げってんだ)。
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