過去ログ - 安価でシークレットゲーム6
1- 20
963:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/08/06(火) 15:55:26.98 ID:D/J1TKXp0
武器はない。
翔平のスポーツバッグの中に入っていたのは野球ボール1ダースだし、桃子にはメガホンが支給されていた。
なんだよ、野球部の応援グッズか?
もっとも、さっきまでは武器なんていらないと思っていた。
クラスメイト同士が争うなどという事が考えられなかったので。

しかし、尚明と奏太が死んでいる。
ということは、襲ってくる人だっている、という事だ。
山神弘也(男子17番)は「男には容赦しない」というニュアンスの言葉を発していた。
翔平は冗談か、せいぜい脅し程度にしか考えていなかった。
しかし、今となってはあの言葉も本気と考えた方が身のためだろう。

文学部棟の前には、広場が広がっている。
草木が覆い茂った場所で、恐らく学生たちが楽しくランチタイムを過ごしたり、遊んだりしていた場所だろう。

周りを囲む植木からそっと中を覗いたが、誰もいない。
だだっ広い所を横切るのは危険かもしれないが、保健館への距離を大幅に短縮できるので、横切ることにした。

「桃ちゃん、ちょっとだけダッシュ、オーケイ?」

「えと…オーケイ…かな?」

桃子の足が遅い事くらいわかっている。
しかし、あまり見通しの良い所で身長に歩きすぎるのは駄目だ。
翔平は桃子の手をしっかりと握り締めたまま、広場に出た。
一気に走り抜ける。
運動部のヒーローたちが集まる3年C組の中では、翔平の足の速さは中くらいだが、平均から見れば速い。
桃子を半ば引きずるようにして、駆け抜けた。
駆け抜けようと、した。

 

ばんっ

 

銃声。
急に重くなる、左手。
鳴り続ける、耳を劈くような音。
数瞬遅れてやってきた、激しい痛み。

先に桃子が倒れ、それに引っ張られて翔平も膝をついた。
翔平は痛みの走る左脇腹を押さえた。
生ぬるい感触がし、手を開いてみると、赤く汚れた。

撃たれた…?
マジで…何で…誰が…?

疑問が次から次へと湧き上がった。
しかし、ここで重大な事を思い出した。
後ろを振り返る。

「桃ちゃん…? 桃ちゃん、大丈夫か!?」

大切な幼馴染は、辛うじて指先を動かした。
アイボリーカラーのカーディガンの背中側、ゆっくりと赤く染まっている。
白く細い右足も、濃い赤色に染まっている。


<<前のレス[*]次のレス[#]>>
1002Res/954.78 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice