過去ログ - 安価でシークレットゲーム6
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973:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/08/06(火) 16:05:46.30 ID:D/J1TKXp0
「…それ以上言うな。
 そういうの、言ってほしくない」

「でも、あたしはもう、誰にも――」

大和は喬子の両肩に手を置いた。
その指に力を込める。
少しきつかったのだろう、喬子が僅かに声を洩らした。

「そういう、自分を苦しめる言葉、言うな。
 約束しただろ、俺ら。

 俺には喬子が必要だ。

 …不満か?」

喬子はしばらく大和の顔を見つめ、首を横に振った。
今度はにっこりと笑った。
少し、頬を紅く染めていた。

「…そうだよね、ごめんね。
 約束、破っちゃうところだった。
 あたしも、大和くんがいれば、それでいい…」

「…へへっ、なんか照れる」

そう言いつつ、大和はそっと喬子の背中に手を回した。
その華奢な体をそっと引き寄せる。
喬子の髪は、ふんわりといい匂いがした。

 

「いやあぁぁぁぁぁっ!!」

 

不意に悲鳴が聞こえ、大和は咄嗟に床に置いていたベレッタM84Fを手に取り、声のした方に向けた。
もちろん、喬子を自分の後ろに隠すのも忘れていない。
またお預けを喰らってしまったが、仕方がない。

「玖珂さんから離れてよ、このケダモノっ!!」
「け…けだ…っ!?」

一瞬何を言われたのかわからなかった。
ケダモノって何だそりゃ。
俺は人間だぞ、尻尾とか生えてないし。
あぁ、そういう意味じゃないって?
でもさ、自分の彼女を抱き締めて何が悪いんだ?

「ちょ…ちょっと待って、紗和ちゃん!!」

喬子も何がなんだかわからない様子で叫んだ。喬子の声に、大和をケダモノ扱いした少女――伊賀紗和子(女子3番)がそちらを見た。

「玖珂さん…」
「紗和ちゃん、よかった…怪我、ない?」

大和は2人が近づいてぽつりぽつりと会話を交わす間に、紗和子についての知っている限りの情報を頭の中から引っ張り出した。伊賀紗和子、3年C組副委員長。ただ、その役職は進んでなったわけではなく、選挙で選ばれたものだ。それでも立派に役をこなしているところを見ると、真面目な性格のようだ。2つくくりをした肩までの黒髪、大きめの縁の眼鏡――見るからに優等生だし、事実有名進学塾の“明進塾”に通っており、成績優秀だ。明進塾――つまり、喬子の塾友達だ。個人的にはあまり関わりがなかったのだが、何か恨みをかうような真似をしただろうか。もしかして、喬子と付き合っているということを知らないのか。ありえる、紗和子は色恋沙汰には疎そうだ。

「ちょ、ちょっと、紗和ちゃんっ!?」

喬子の驚いた声に、大和は我に返った。
眼前に、紗和子が迫っていた。その手にはバターナイフが握られている。これが支給された武器なのか?とにかく、大和は寸前で避けた。ざくっと音がし、バターナイフが畳に突き刺さった。

「待て、伊賀!!俺は別にお前を襲う気とか…」
「うるさいうるさいうるさいっ!!」

いつもは大人しそうなヤツだ、と思っていた少女が、わめき散らす。バターナイフをしっかりと握り締めて振り回す。このプログラムでは男女1人ずつが生き残ることができる。女の紗和子が男の大和を襲って、万が一殺害したとしても、生き残る確率は1%も増えない。そんなことは、紗和子もわかっているはずだ。


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