過去ログ - 安価でシークレットゲーム6
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991:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/08/06(火) 16:37:21.11 ID:D/J1TKXp0
A=04エリアの北の端にある茂みの中に大谷純佳(女子5番)はいた。
横には野原惇子(女子16番)が、その大きな体を横たわせている。
純佳は、鶴田香苗(女子15番)に襲われ、逃げていたところを惇子に助けられ、その後ずっと行動を共にしている。
とはいうものの、香苗に襲われたショックが大きすぎてしばらく動くことができなかったので、それほど移動はしていない。

純佳が泣いていた間も、憔悴しきって横になっていた間も、惇子は無言で側についていてくれた。
今は少し疲れたということで、横になっている。

山城このみ(女子20番)が殺害されてから5時間ほど経っているが、その映像は鮮明に脳に焼きつき、離れない。
それは何度も純佳の胃を刺激し、その度に嘔吐しそうになった。
惇子にこれ以上の迷惑をかけたくないので、なんとか堪えたが。

…香苗……
アンタは一体、何を考えてんだ…

このみは、最も憧れ、最も信頼していたであろう香苗に殺害された。
山神弘也(男子17番)のことが好きだ、たったそれだけの理由で。
それも一瞬で。
眉1つ動かさずにやってのけた。
普通の神経の持ち主ではできない芸当だ。
しかし、香苗はそれをやった。

思えば、普段から奇妙な女だった。
出会ったときには既に、普通の女ではなかった。

ねぇあなた、あたしと一緒に、稼がない?

出会ったその日に言われた言葉だ。
今でも鮮明に覚えている。
天使のような微笑を浮かべ、そう誘ってきた。
それが援助交際だとは、すぐにはわからなかった。
当然だ、誰が出会ったばかりのクラスメイトを、援助交際に誘うだろうか。

純佳やこのみは、せいぜい一緒に遊んで小遣いを貰う程度にしかしなかった。
しかし、香苗は違った。
途中で別れ、自分の父親と年の変わらないような中年男と、夜の繁華街へ消えていったことは何度もある。
少しも嫌な顔をせず、あの笑顔を浮かべて。

そんな香苗が、弘也のことを好きだとは。
あまりにも意外な事実だった。
好きな人がいるのに、援助交際を続けていたのか。
それも、恐らく、自分たちがやったことよりも相当犯罪に近いことまで。

アンタさ、もっと自分を大事にすべきだよ?

いつだったか、香苗に言ったことがある。
これでも友人だ、自分のことを何とも思っていないような所業に、純佳は純佳なりに心配していた。
それは見事にはぐらかされてしまったが。

…香苗……

 

ぶつっ

 

やや歪んだ、スイッチを入れるような音が聞こえた。
腕時計に目をやると、デジタルの画面には0の文字が3つ並んでいた。
昼0時の定時放送の時間だ。

「…野原」

「わかってるよ」

純佳が呼びかける前に目を覚ましていたのだろう、惇子はすぐに起き上がり、小さく欠伸をした後、支給されたスポーツバッグから名簿と地図とペンの入ったビニルケースを引っ張り出した。

『諸君、よく戦ってくれているな。
 定時放送の時間だ。
 各自、名簿と地図を出すように』

純佳は眉間にしわを寄せた。

「…“よく戦ってくれている”…か」

「だろうね、銃声とか聞こえたし」

惇子は溜息を吐いた。惇子の言う銃声は、確か10時半前に聞こえたものだ。他にも何度か聞こえたが、これが1番大きく聞こえたので、近かったのだろう。

『まずは戦死者だ。午前6時50分、女子20番・山城このみ。午前9時2分、男子12番・津村翔平。午前10時19分、男子19番・四方健太郎。午前11時17分、男子9番・十河勇人。午前11時18分、女子17番・畠山和華。以上の5名だ』


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