過去ログ - 安価でシークレットゲーム6
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993:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/08/06(火) 16:38:03.17 ID:D/J1TKXp0
このみ…

目の前で見たのでわかっているのに、改めて名前を呼ばれると、胸が締め付けられたように痛む。
ほんわかとした笑顔が脳裏によぎる。
とても気の利く良い子だった。

「…四方か、あれ」

惇子は名前に赤線を入れていきながら呟いた。
放送は嘘を流しているわけではないと思うので、最も近くで聞こえた銃声による犠牲者は四方健太郎で、恐らくこの近くに亡骸が転がっているだろう。
健太郎といえば、普段から自分の頭の良さを鼻にかけ、あまり頭の良くない純佳は健太郎にとっては侮蔑の対象であったと思うので、悪いがそこまで心が痛むということはない。
というよりも、このみのことが別格なのかもしれない。

気に掛かったのは、勇人と和華。
退場した時間は僅かに1分の差しかない。
一緒にいたのだろうか。
2人が一緒にいるということが想像しがたいが、純佳が惇子といることだって、周りから見れば想像しがたいことなので、可能性がないわけではない。
もちろん、これは純佳の思い違いだが、わかるはずもない。

『次に、禁止エリアだ。
 1時からA=04、3時からG=10、5時からJ=07、以上だ。
 また6時間後に放送を流す。
 諸君らの健闘を祈る』

無愛想な放送が切れた。

「…野原、ここ、1時間後だね」

「だね、移動しなきゃだねぇ」

純佳は荷物を片付け始めた。
地図は一応出しておくことにした。
エリアの境目は地面に描いてあるわけではないので、地図がなければ安心することはできない。

ふと惇子に目をやると、惇子はじっと名簿を見つめていた。

「…どうしたんだよ野原、浮かない顔してさ」

惇子は自分の名簿を純佳の目の前に出した。
純佳の視線は、自然と赤色で塗られた枠を彷徨う。
男子は散らばっているが、女子は名簿の下側だ。
女子17番の和華から20番のこのみまで、全員が既に死亡している。

「なんか嫌だわ、この名簿の並び。
 死へのカウントダウンっつーの?
 次、アタシ死ぬかもしんないよねぇ」

惇子は苦笑した。
そうか、16番は惇子なのだ。
17番から下が赤くなっている名簿。
そんな規則性など通用するはずがないのだが、妙な不安に駆られる。
張本人の惇子は尚更だろう。


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