過去ログ - 勇者「安価で呪いに抗いながら魔王討伐」
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496:[saga]
2013/03/19(火) 01:57:39.62 ID:fp5cevIZ0
「魔王城」



魔王「さて、本日の議題は……」

王「カースによる人格歪曲の結果起きた事件の加害者を罪に問えるのか……じゃな」

少女「まず、それぞれの立ち位置をはっきりさせておくべきだろう」

魔王「無罪」

王「責任を取る必要はないが、賠償はすべきじゃな。よって有罪」

少女「有罪」

王「まず魔王から聞こうか。なぜ無罪なのじゃ?」

魔王「カースは本人の意思とは完全に隔絶した現象であり、自己の喪失中の出来事への責任能力は問うのはいささか酷というものだろう」

王「まあ一理あるがの。じゃが、被害者側としてはそんなことは関係ない。親を目の前で殺されて犯人が無罪放免では納得いくまいて。ならば可能な範囲で賠償だけさせて、投獄は免除というのが妥当じゃと思うがな。元凶のワシが言うのもなんじゃが」

少女「自我崩壊した奴らに襲われることを『運が悪かった』と泣き寝入りできる奴は、そうはいない。だが自身が誰かに迷惑をかけ被害を振りまいたという自覚があるのなら、加害者は都合の悪いカースを引き当ててしまったことを『運が悪かった』と納得することもできるだろう」

魔王「カースに憑かれることは、洗脳されて操られている状態にも等しい。そう考えれば彼らも、一種の被害者なのではなかろうか」

少女「そもそも賠償は国が行うべきなのではないか? 発端はお前らのいがみ合いだろうが」

王「それを言われると辛いな。これは全面的にワシが悪い」

魔王「歩み寄りの努力を怠ったのはお互い様だ。魔物側は私が面倒を見る」

少女「人間の方がずっと、こういったことにはうるさいからな。ちょうどいい采配なのではないか?」

少女「しかし加害者側になんのペナルティもないというのは問題だろう。間違いなく被害者は納得しないだろうし、加害者の中にも正義感の強い奴は罰して欲しいと思う奴だっているだろう」

王「では、投獄か?」

魔王「それよりも強制労働という名の、復旧・復興作業でいいのではないか? 様々なところで被害や悲劇はあったからな」

少女「それが妥当だろう。それから、今回の一件での死亡者は『人間と魔物の友好の礎』という名目で英雄化して、慰霊碑でも建てて名前を残したらどうだろうか。少しは去っていった者たちへの鎮魂と、残された者たちへの慰めになるだろう」

王「それはいいな。至急、手配しよう」

魔王「去っていったものを忘れないことは大切だ。私も賛成しよう」

少女「なんにせよ、まずは被害者と加害者の特定・把握が最優先だ。各町に調査隊でも派遣するんだな」

魔王「ああ。では、そういう運びで」

魔王「今日は私の城まで足を運ばせて悪かったな。できる限りのもてなしはしよう。くつろいで行ってくれ」

王「では、ワシの付き添いで来てくれた勇者一行たちのところへ案内してくれ」

魔王「ああ。四天王も一緒にいるはずだ。……帝王も一緒にどうだ?」

少女「結構だ。1人で帰る」

魔王「構わないが、魔王城周辺は恐ろしい地形が山ほどあるから、死なないように気をつけることだ」

王「馴れ合いが嫌いなら、ここで待っておれ。帰る段階になったら呼びに来るぞい?」

少女「……わかったよ」

魔王「ふむ……では行くか」






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