過去ログ - 凛「まどか? 聞いたことの無いサーヴァントだわ」 その2
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21: ◆7F1xhg7Fvs[saga]
2013/03/16(土) 01:26:27.57 ID:cjaefXXCo
「相当に強力なものでな。下手な文言を誓えば己の首を絞めることになる」

薄暗い照明が作り出す陰影が、臓硯の身体の皺を強調する。
人の形をとっていても、どこか蟲の印象が残る。浮き出た骨が甲殻のよう。

「基本的には否定の言葉で誓うのがよかろう。まずは互いの目的を害さないこと、これについて異論はあるまい」

「それほど強力なら、曖昧な表現は危険か。改めて聞くが、お前は何を目的としている?」

「儂の目的はな、永遠よ。朽ちることの無い肉体、老いることの無い精神。
だが主にそこまで付き合ってもらおうとは思わん。ただソウルジェムをこの手に収めれば満足よ」

「分かった。私達の目的はあくまで暁美ほむらということだな」

「今の段階では、な……」

蟲の蠢く地下室への道を、臓硯は嬉しげに、言峰は顔をしかめて下る。
始めは鼻をつまみ、ある程度降りたあとで頭を振りながら指を離した。

「誰もが初めはそういった反応を示す。儂の愚息らとてそうだ。それが当然の反応だろう。
じゃがな、三日も漬け込めば身体は慣れてしまう。精神が慣れるまでには個人差があるが、長くかかる者ほど上手く溶け込む。
這い上がる見込みがあるから、壊れてしまうことができない。壊れることができんから、より深くに落ちていく」

「今は、誓約の話を……」

「ふふっ。揺れたな」

臓硯が振り返る。少し力を込めれば折れてしまいそうな腕が、言峰の首元に伸びていく。
細枝よりも、甲虫の足を思わせる、水気の無い腕。それを反射的に振り払うと、臓硯の表情筋が動く。

ただその笑いだけが、臓硯の中で水気を残している。ねっとりと、脳裏で跡で引く。

「言ったじゃろう。愉悦と言うものを、教えてやろうと」

言峰の顔をじっくりと、各パーツごとに見ていく。眉/繭から、眼/芽から、歯/葉から……。
その鉄面皮の裏側の、生まれ出ようとしている悪心を、見ていく。

「カッカッカッ。愉快愉快」

笑い声を残してくるりと回り、地下室の奥へと消えて行った。


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