過去ログ - 1~2レスで終わるSSを淡々と書く
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10:1/1[sage saga]
2013/03/15(金) 18:19:30.29 ID:JLyRmb8y0
世界の終わりという瞬間を、僕は望んでいたのかもしれない。
ずるずると足を引きずりながら歩く僕の羊の相棒をそっと支えながら、目を薄めて空を眺める。
切り取り線のような煙が、空を横切っていた。
山の向こう側がカッと弾け、光がじわじわと空を蝕んでいく。
先ほどまで闇の中、暗い道を歩いていたせいで僕は一瞬夢から覚めたのだと思った。
もしかしたら、今いる世界が夢の中で朝焼けとともに目が覚めたのかもしれない。
そんなことを一瞬だけ思った。
あれは太陽ではない。太陽とは僕たちを温める希望の光だ。
あれはさしずめ絶望の光であろう。何人もの人たちがあの光によって息を引き取った。
いや、そんな表現では表しきれないだろう。あの光は僕たちに息を吸わせない。
相棒がくしゃみをして我に返る。早く山の頂上に行かなくてはいけない。
あの空の上、切り取り線の先には、裕福な人々が火星に行くための機械がある。
誰が悪いわけではない、誰かを責められるわけでもない。
しかし、僕はあの機械が今すぐ壊れてしまえばいいのにと思った。
世界はやがて終わる。
僕はうっかりこの光景を美しいと感じてしまった。
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