過去ログ - 春香「これからのきみとぼくのうた」
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16:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2013/03/16(土) 11:25:39.34 ID:bwJZNukvo
「お願いします!」
「言っておいてなんだけど、俺でいいのか?」
「え、えぇー!?」
「兄ちゃん! はるるんが困ってるっしょー!?」
「そ、そうだな」
彼は鏡の前に座る私の後ろに立つ。
鏡を通して彼の表情を伺うと、真剣だった。
一つ、上から下へ、ヘアブラシが優しく流れる。
もう一度彼の顔を伺うと、さっきとは違ったいつもの表情になっていた。
このとき、私は彼を信頼したのだと思う。
そして、それが……私の……。
「願掛けってなんですか?」
「……律子のときも、似たようなミスがあってな」
「ミス?」
「律子な、今とは違う髪形だったんだ。ポニーってやつ。それで、あの時はスプレーすら忘れて……」
懐かしい想い出のように語り、頬を緩ませている。
真美は彼の隣で話の続きを急かしていた。
「そんでそんで?」
「今の春香と同じように、髪の一部がはねてて……。俺も律子も慌てて……な」
真美と私の中間の位置に顔を寄せて……
「他のライバルたちに借りるのは絶対に嫌だったから」
と小声で話し、
「俺がやると言ったんだ」
悪戯好きの子どものような表情だった。
いつの間にか私は周りの目が気にならなくなっていた。
「その時、律っちゃんはなんて言ったの?」
「歌詞の確認をしなきゃいけなかったから、背に腹はかえられないですね、ってさ」
「あはは」
律子さんらしくて、笑ってしまう。
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