過去ログ - 春香「これからのきみとぼくのうた」
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27:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2013/03/16(土) 11:49:11.34 ID:bwJZNukvo

「すいません」

「もうちょっとだったのに」

「なにがだ。……ふぅ」

「はい、どうぞ。……くすぐりが弱点だなんて意外ですね」


小鳥さんが彼のデスクの上に湯呑みを置きながら尋ねる。


「ありがとうございます。……他人に触られるという行為に慣れていない、のかもしれません」

「へんなのー」

「得意な人なんていませんよね」

「……」


普段触られない箇所だから、それは当たり前なのではないか、と不思議に思った。


「握手も苦手……とまではいきませんけど、恥ずかしかったりするんです」

「それはまた、ウブな告白ですね」

「どうして握手が恥ずかしいんですか?」


報告を忘れて、会話を楽しむ。

彼のことをもっと知りたいと思っていた。真美もそうだった。


「はい、兄ちゃん」

「……なんで、いま、真美と握手をしなくちゃいけないんだ」


右手を差し伸べた真美から目を背ける仕草が可笑しかった。


「それで、どうして恥ずかしいんですか?」


小鳥さんが私の疑問を再び投げかける。


「少し、変な話になりますけど……いいですか?」

「……変な話、ですか」

「お色気話?」

「そんなわけないだろ。この仕事に関わろうと思った、きっかけ……に繋がるのかな」

「それは、是非聞きたいですね」

「……あの日に聞いたことですか?」

「そう、春香と真美に話したこと。大した話じゃないんですけど……」


私の初仕事のとき、車の中で聞いた彼が内緒にして欲しいと言っていた話。

その時の事務所には4人しかいなかったから、他の人に聞かれることは無いということだった。



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