過去ログ - 春香「これからのきみとぼくのうた」
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29:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2013/03/16(土) 11:54:26.77 ID:bwJZNukvo

「ひとりぼっちだから、触れ合いもない。もちろん、握手もしなかった」

「……」

「春香、手を見せてくれるか」

「?」


手相を見せるように、てのひらを差し出す。


「『たなごころ』といって、人のこころが『掌』に現れると昔の人は言っていたそうだ」

「……」


私の掌に、彼の手が重なる。


「こうやると、お互いの気持ちが伝わるってな」

「ほぉほぉ、……うん? それが兄ちゃんのくすぐりが弱いのと、どう関係があるの?」

「単純に、スキンシップが照れくさいってだけ」

「プロデューサーさんのこころ、それが相手に伝わるのことが恥ずかしい。ということですか?」

「……そういうことです」


小鳥さんに見抜かれた彼ははにかんで答えた。

私は掌に乗った彼の手をそっと握る。


「……春香?」

「お菓子を作ったんです」

「昨日の話の続きか」

「はい。……そしたら、喜んでくれましたっ」

「……そうか」


彼は嬉しそうな表情をした。

私はお礼を伝えるように、その手に力を込める。

律子さんのときも彼がいたから私はすぐに馴染むことができた。

本来ならもう少し時間がかかっていたのかもしれない繋がり。

彼がいることで、私の世界は加速して広がりをみせたと今でも確信している。


「ありがとうございます、プロデューサーさん」

「……俺はなにもしてないんだが」


引っ込めようとする彼の手を強引に掴む。


「春香?」

「プロデューサーさんが偏屈だったのは……小学生の時ですか?」


彼が影響を受けた『アイドル』は中学生に上がってから。


「もういいだろ、俺の話は……」


そう言って、手を引っ込めようとするけど、私は聞きたいから離さなかった。



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