過去ログ - 春香「これからのきみとぼくのうた」
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34:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2013/03/16(土) 12:06:27.15 ID:bwJZNukvo

「彼女も本気で叩きに来て、それから真剣勝負になったんだよな……」

「……」

「でも、その時初めて、彼女の言うあたたかさに触れたんだと思う」

「…………」

「そして次の日、彼女は引っ越して行く。俺に何も言わないで、な」


悔しかったのかもしれない。やられた、って表情だったから。


「彼女は時間をかけて、俺に大切なモノを教えてくれた。……と思っている」

「……なるほどぉ」

「…………そろそろ離してくれ」

「あ……。えへへ」


掌。

彼の想いが伝わったような気がした。


「どんな女性の方なんですか?」

「……乱暴でガサツで」

「いえ、性格ではなくて……。雰囲気というか、見た目というか」

「真と伊織を足して……って、真に失礼か……」

「……」

「男勝りな性格のくせに、髪の毛は腰の辺りまで伸ばしてて……。感情よりも先に手が出て……」

「……」

「3年近く一緒に居たのに、何も言わずに去っていく……。酷い人です」


他人を悪く言う彼は新鮮だった。

それだけ気を許している相手だということ。


「たっだいまー!」

「ただいま戻りました〜」


噂をすれば影。

事務所の入り口から届く元気な声と穏やかな声に、少し緊張した彼を見逃さなかった。


「さ、さてと……仕事に戻ろうかな」

「その人と『アイドル』がいたから、プロデューサーという仕事に就いたんですよね」

「……そういうこと」

「そうですかぁ」


彼は平静を装って作業に戻った。

気付かない振りをしているのは、大変だな、なんてその時の私は思っていた。



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