過去ログ - 春香「これからのきみとぼくのうた」
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35:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2013/03/16(土) 12:18:04.88 ID:bwJZNukvo



――

―――


気が付いたら、外灯に照らされた足元を見ていた。


陽は沈んで辺りは薄暗くなっている。


私はどれくらいの間、想い出の中に居たのかな。


「……春香、帰ろうよ」

「…………そうだね」


あげはの声に同意したのに、私は腰を上げなかった。

上げられなかった。


「……はぁ」


空気が私の溜息を凍らせて白く漂わせる。


「ねぇ、あげは……」

「……うん?」

「ノートを貸してくれたお礼に、お菓子を作ってきたときのこと、覚えてる?」

「あのドーナツね、よく覚えてるよ。あれが私と春香が友達になったきっかけだから」


彼がいたから世界が広がりをみせた。


「……それがどうかしたの?」

「うん……」


彼のおかげで、あげはと友達になれたんだよ……

それを言うことで、どうなるのかな。

彼の存在が私たちの中で大きいことを伝えて、何になるのかな。


「……」


顔を冬の夜空へと向ける。

そこには天の海に広がる無数の星たちが煌々と瞬いていた。


東の空にはオリオン座のベテルギウス。


「冬の大三角形だよね」


あげはが私の視線を辿り、同じ星たちを見つける。



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