過去ログ - 春香「これからのきみとぼくのうた」
↓ 1- 覧 板 20
48:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2013/03/17(日) 21:18:10.77 ID:H1WPBXuto
「春香や、みんなの近くで応援できて、俺は楽しかったよ」
唐突に聞かされる彼の寂しげな言葉。
それが過去形だったのは彼の運命が決まっていたから。
彼はその先を諦めてしまったから。
ひとりでその時を迎えようと決めてしまったから。
「そのお姉さんと『アイドル』がいたから、プロデューサーさんは変われたわけですね」
「うん」
彼は誤魔化そうともせず、ただ素直な子どものように頷いた。
「偏屈で、人と触れ合えなくて、中身が空っぽな俺に、変わるきっかけをくれた『アイドル』」
「……」
「そして、俺の曲がった性格を叩きなおしてくれた彼女。二人がいたから、俺はここにいられるんだろうな」
私もその二人に感謝したい。
彼とめぐり逢えたんだから。
「なにかが変わったといっても、今までの生活が劇的に変化するということはない」
「……」
「だから、彼女が引っ越していって……寂しく感じた俺が取った行動は……」
「……」
「彼女の真似をすること」
「真似……ですか?」
「そうすれば、人が集まってくるのだと思った」
「……」
「口調も真似たりして……な……」
過去の話するなんて照れくさいな。と、頭を掻くものだと思っていた。
いつもの彼ならそうしていたはずだった。
だけど……
「元気にしてるかな……」
星を見上げるだけ。
その横顔は、やっぱり寂しそうで。
「プロデューサーさん」
「……ん?」
「私は――……」
私がその寂しさを埋めてあげられないかと思い、無意識に言葉を紡ぎそうになった。
封印するって決めたのに、彼の過去を知れば知るほど……
82Res/105.66 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。