過去ログ - 智「さあ、おとぎ話をはじめよう」 Re:3
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678:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/04/06(日) 01:46:52.47 ID:071fVq0Ao
「チッ……んだよ。 何しに来やがった」

「今言ったろ。 人の良さそうな奴に絡んでんじゃねぇって」

「俺が話しかけたわけじゃねぇ」

 言い訳のようにも聞こえるかもしれないが、事実だ。
 どうやら知り合いのようなので、僕もフォローするように話しかける。

智「そうですよ。 実は先日、男の人に絡まれているのを助けてもらって」

「……え? この伊沢が?」

伊沢「……なんだその目は。 ぶっ殺すぞ」

 伊沢、というらしい。 多分苗字だろうけれど。
 呼び捨てにしたら怖いので、さんを付けておこう。

智「はい、事実です。 それで、伊沢さん?にお礼を言っても受け取ってもらえなくて」

伊沢「ばっ……余計なこと言ってんじゃねぇよ!」

「ぷっ」

 伊沢さんが叫んだ途端、もう一人の男性は笑う。
 伊沢さんも恥ずかしいのか、少しばかり顔を赤らめて彼に噛み付いた。

伊沢「瑞和! テメエも笑ってんじゃねぇ!」

瑞和「だっ、だって……お前……ぷっ」

伊沢「チッ……!」

 伊沢さんに瑞和、と呼ばれた人は心底おかしそうに笑う。
 どうやら伊沢さんは、初めに感じた通り央輝と同じような人種らしい。
 つまり悪だけれど悪になりきれない。 たまに人助けはするけれど自分のためだと嘯く。
 それでそのことに突っ込まれたら、恥ずかしさに顔を真赤にして反論する。
 ここまで一致してるのも珍しい。

伊沢「……! テメエも何ニヤニヤしてやがんだ! ぶっ殺すぞ!」

 言われて気がついた。
 僕はいつの間にか笑っていたらしい。 そのことに怒りを向けてくる。
 が、その剣呑な言葉とは裏腹に感情が全く篭っていなかった。
 本当に、そこの瑞和さんじゃないけれど笑えてくる。

智「ふふふっ、あはははっ」

瑞和「ぷっくくくくく」

伊沢「て、テメエら…………!」

 笑う僕らに伊沢さんが本当に(とはいっても加減はしてあったが)爆発するまで、これから数秒もかからなかった。


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