過去ログ - 智「さあ、おとぎ話をはじめよう」 Re:3
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954:名無しNIPPER[saga]
2014/12/27(土) 02:50:48.60 ID:PTmGjZ6eo
「……またお前か」

智「その節は、どうもありがとうございました」

「チッ」

 短く舌打ちをする、彼女にも見える彼。
 だしか……そう、伊沢さんだ。
 兄ちゃん、ってことは彼が彼女の兄なのだろう。

けーこ「あれ? にーちゃん、このお姉さんと知り合い? もしかしたらもしかして、彼女さんだったり!?」

伊沢「ねぇよ。ちょっと前に絡まれてて、厄介払いしてやっただけだ」

けーこ「とかいっちゃって! この人、南総だよ、お嬢様だよ!」

伊沢「だからなんだよ」

けーこ「ここはほら、ちゃんと捕まえておかなきゃ! いい人みたいだし!」

 そんな気安い兄妹関係を目の前で見せられる。
 ぱっと見は姉弟にしか見えないのだけど彼女たちの言葉を信じるなら伊沢さんが兄で彼女がその妹なのだろう。

けーこ「丁度都合よく、私がぶつかっちゃったんだし、お詫びってことでデートにでも、ね!」

伊沢「だからねぇっつの。けーこ、お前の用事で態々ここに来てるんだ、さっさと行くぞ……妹が悪かったな」

智「え?」

 すれ違い際に伊沢さんは僕に呟き、しかし返答を聞かずに雑踏へと歩んでいく。
 それを見た妹さんはあちゃーとでもいいたげな顔をしてまた僕に頭を下げた。

けーこ「えっとお姉さん、本当にごめんなさい! 次ににーちゃんとあったら、よろしくお願いします!」

伊沢「けーこ!」

けーこ「あーん、にーちゃん待ってー!」

 そうして、妹さんもまた伊沢さん(兄)の後を追って人混みに紛れる。

 なんというか、風の様に現れて去っていった兄妹だったな。
 妹さんとぶつかった時に落としたソフトクリームの残骸を見ながら、僕はそう思うのだった。


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