過去ログ - 智「さあ、おとぎ話をはじめよう」 Re:3
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名無しNIPPER
[saga]
2015/02/21(土) 01:58:49.07 ID:gF2xKrflo
夜子「……まだかな」
智「まだだよ」
数分も経たない内に、夜子はそわそわし始める。
確かに初めて作ったケーキだ。気になるのもわかる。
でも既に賽は振られたし、加熱を途中で止めたらそちらの方が問題だ。
智「大丈夫だよ、僕が保証する。夜子の作ったケーキは絶対に美味しいから」
夜子「でも……もし失敗したら……」
智「その時は、僕が責任もって処分するし、また最初から手伝うから、ね?」
立ちっぱなしで部屋の中をウロウロする夜子を、僕の座るソファーに呼ぶ。
夜子は何の警戒も抱かずに僕に呼ばれて、僕の横に座った。
しかし、このソファーもふかふかだ。僕の家にあるバネが壊れたアレとは大違い。
ちなみにあの多機能電子レンジも、このソファーも、他の家具類も全部王様がこの部屋を用意してくれた時にはあった。
僕の過保護もそれなりだと思うけど、我斎の過保護っぷりも中々じゃないだろうか。
本人にこれを言っても、きっと顔色一つ変えずに理由をあれこれと並べるのだろうけれど。
夜子「……和久津?」
智「ん? どうかした?」
夜子「……別に。でも、今笑ってたから」
智「……そっか」
我斎は、きっと変わった。
基本は変わらないし、性格だってどうしようもない。けれど確かに、彼は変わったのだ。
少なくとも、身近にいる彼女を大事だと自覚する程度には。
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