過去ログ - 凛「おかえり。アーチャー」  アゲハ「ああ、ただいま。マスター」
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467: ◆jXxX9w2lpg
2013/06/01(土) 19:23:27.80 ID:LJecqNK/o

キャスターの鳩尾を目掛けて、凛は拳を引いて構え、より深く衝撃が届くように拳を回転させながら打ち抜く。
深く拳はめり込み、キャスターからは声にならない呻き声が漏れる。

(声は上げさせない、そのまま仕留める)

高速神言と言えど詠唱出来る余裕は、キャスターにはない。
腹部の痛みに耐えるように体を折り曲げているキャスターの頭に、凛は容赦なく拳を振りおろして遥か下方、固い地面に叩きつける。

「……これで終わらせる」

腹部と頭のダメージ、それに地面に叩きつけられた衝撃でキャスターは起き上がれない。
距離は少し遠いが、それでもキャスターが復活するよりは確実に早い。
凛は地面に着地すると、間髪入れずにキャスターを責め立てるべく走り出そうとするが、突然体の動きが止まる。
鉛の様に、石像にでもなったように体は固まりピクリとも動かない。

「っく……体が」

「……保険は掛けとくものね、まさか私が人間の小娘に土をつけられるなんて」

「設置型の魔術……いつの間に」

「初めからよ。私の周りを囲うように用意しておいたの。何が起こるかわからないものね」

立ちあがったキャスターは苦しげで、まだ痛みはあるようだが話すのに支障はなさそうである。
凛はこのとき、自分が敵の本性を見誤っていたことを理解した。
自信過剰で敵を見下す傾向にあるキャスター相手なら、人間である自分のことは確実に甘く見てくる。
それこそが付け入る隙で唯一の勝機だと思っていたが、それ以上に執念深く抜け目ない相手だったようだ。

(これは、完璧に私のミスね……そりゃ拠点つくって魔翌力蓄えるような敵よ。隙があるわけもなかったか)

「貴女は本当に優秀な魔術師だったわ。もう少し長く生きられれば、さぞ高名な魔術師となったのだろうけれど……残念」

キャスターの指に魔翌力が集中し、指先に紫色の光が丸く灯り始める。
そんな絶対絶命の光景を前にしても、凛の体は少しも動く気配がない。
もう少しだった。
あと一歩のところまで追いつめておきながら、最後の最後で上手く行かなかった

(もう私じゃどうしようもないわね……指一本も動かせない。こうなったら……)

自力での脱出は不可能。
だとしたら、助かる道は一つしかない。

「――令呪を持って命じる……」

助られるのは凛以外の誰か。
だから凛は令呪を用いてアゲハの助けを請う。



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