過去ログ - 高垣楓「ホワイトデーのおくりもの」
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23:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga sage]
2013/03/18(月) 12:07:24.14 ID:VMr1FUOo0
  
 こ、この店、いい雰囲気ですね。 
  
 もっと気の利いた事は言えなかったのか。 
 後悔してももう遅い。話題は既に出てしまったのだから。 
  
 『は、はい…何も言わずも案内してくださって』 
 『その…ドレスコードとか、あるみたいですし』 
 『わたし…仕事帰りに、そのまま…だ、だいじょうぶでしょうか』 
  
 だいじょうぶどころか、とてもよく似合っている。 
 というか…いつもより、ずっと綺麗だ。楓さんの、お気に入りの服だ。 
 私服でも通されたということは、それだけ雰囲気に合っているということ。 
 これだけの高級な店に私服でも通されるのは、それだけ、楓さんが綺麗だから。 
  
 なんて口に出す勇気もなく、大丈夫ですよ、似合っています。 
 ああ、何か口当たりのいいものをお願いします。 
  
 それだけを伝えて、楓さんに向き直った。 
 そして、ちゃんと謝って、渡さないと。 
  
 顔を見るだけで、自分の顔が熱くなるのを感じる。 
 どうしてか、それにだって、検討はついている。 
 でも、今じゃない。今すべきは、渡すこと。 
  
 ホワイトデーの、おくりものを。 
  
  
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