過去ログ - 直通電車 -Direct to the Ground- 【第三次投下】
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21:羽衣真砂 ◆hsUAEn/JO/Q.[saga]
2013/04/13(土) 23:03:53.27 ID:EyBueWK/0
3人が席に着いて、さらに30分。

「ヒロ、遅いね」

「乗り過ごしたか、あるいは折り返した可能性を主張する」

試合の方は三者凡退が続き、すでに5回表。
この調子なら1時間程度で試合終了になるだろう。

「応援名簿に書いてある人が最後まで来なかった場合、次の試合で遅刻するって…」

いつものように都市伝説を披露しようとしたそのとき、
遥の携帯が鳴った。

「誰からの電話であるか確認を要求する」

「ちょっと待って。今確認するから」

ポケットから携帯を取り出し、画面を確認する。
そこに表示されていたのは、遅刻常習犯の大野弘和。

「ヒロ…いったいどこにいるの」

『遥、俺は今どこにいるんだ?』

「こっちが聞いてるんだけど」

『ちょっと聞いたことのない電停だったから』

「聞いたことのない電停?」

本郷市電の電停は、すべて「何条何丁目」である。
「中央合同庁舎前」や「地上線入口」のように、副名称が付くこともあるが、
それでも正規の名称として「24条51丁目」「24条1丁目」というものは存在する。

「ヒロ、市電に乗ってたんだよね?」

『俺もそのつもりだったんだけど』

新本郷にある電停であれば、たとえ副名称がわからなくても、
何条何丁目という表記を見れば、場所は一発で分かる。
しかし本郷市電には、ただ1か所だけ、数字の入らない電停がある。

新本郷民にとって、異世界の入口とも言えるその電停は、

『市電川合津って、どこだか分かるか?』

唯一の地上駅、市電川合津である。


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