過去ログ - 傭兵「死ぬだけの簡単なお仕事です……?」
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◆smf.0Bn91U
[saga]
2013/04/22(月) 20:54:32.75 ID:INCZcSNV0
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そうして、わたくしの新たな生活が始まりました。
知っていたことを知らないフリして授業を受けていた日々から、本当に知らないことを教えてもらう日々に。
悩んでいた魔力の磨ぎ澄まし方について一緒に考え、実践し、扱い辛かった魔法を扱えるようにしたり。
それはとても、充実した毎日でした。
時には、女騎士さんと傭兵さんの取り合いになったりもしましたが、それもまた思い出の一つです。
その七日間は、わたくしにとって、とても輝いたものでした。
男さまのことを好きだった頃抱いていたあの輝きが、また戻ってきたようでした。
男さま自身が濁らせ曇らせ真っ暗にしたあの輝きが……また……。
……ただ、それを意識してしまう度に、思ってしまうのです。
わたくしはただ男さまの代わりに、傭兵さまを利用しているだけなのではと。
自らの傷を癒すために、傭兵さまを傍にいさせているだけなのではと。
好きだった人を上塗りするために、傭兵さまを見ているだけなのではと。
そう、悩んでいました。
ただそれは……すぐさま解消されるのですが。
悲しいことに。
嬉しいことに。
わたくしは、傭兵さまでないといけないことを、知ることになるのです。
八日目……傭兵さまが、やってこなくなりました。
そしてさらに、五日経った、今日……。
あっさりと捨てることが出来た男さまへの気持ちとは違い、傭兵さまだけは……この気持ちを捨てることが出来ないことに、わたくしは気付けたのです。
気持ちはただ、募るだけで……悲しさだけが、心の中に広がって……。
いなくなって、こなくなって……ようやく、初めて……知ったのでした。自分の気持ちが、傭兵さま一人に向いていることに。
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