過去ログ - 勇者「王様が魔王との戦争の準備をしている?」 2スレ目
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5: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2013/03/20(水) 01:42:37.29 ID:3mmpyc380
 なるほど、遠くでひときわ大きく炎のあがっている地点がある。光が走り、爆発が起こり、火炎が立ち上る。その繰り返し。
 全部で何度そうなったろうか。十回? 二十回? そうしている間にもカウントはどんどん減っていく。七五〇。七三〇。七〇〇!

 焦燥を感じた。このまま九尾が殺せないかもしれない――というのではない。
 仲間を強敵に突っ込ませたうえで、自らは後ろで見ているだけのこの立ち位置に、だ。
 つまるところわしは指揮官向きではないし、何より魔法使いにすらも向いていないのだと思う。腰を落ち着かせ、気持ちを殺すことが、どうにも不得手だ。それは孫にも受け継がれているように思う。

 爪を噛んだ。異常に長い人差し指の爪。それはまじないだ。人を効率的に殺すための。
 ガンド。指をさして人を殺す、まじない。それを象った人差し指の爪。

 かりかり、かりかり。爪と歯が音を立てる。
 落ち着かない。

 叫び声が聞こえた。

「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!」

 九尾だ。
 空高く力場を踏みしめ、兵士を握り潰し、燃やし、切り刻みながら、咆哮している。



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