過去ログ - モバP「天才発明家・池袋晶葉は揺らがない」
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[saga]
2013/03/22(金) 12:58:28.79 ID:2VWMQUCT0
20時20分。残った力も少ない。
右腕も存在していない。晶葉の顔も、よく見えない。
けれど、痛む足で支えて、立ち上がって、晶葉のほうを振り返る。
『晶葉はもう、何もしなくていい』
『あとは、これを晶葉に渡せば、全てが終わって、全てがはじまる』
晶葉が答えを見つけ出せなかった未来は幕を閉じて、彼女は新たな答えを得る。
『そういえば、今日は晶葉の誕生日だったよな』
『プレゼントは、用意していないから、これになるけど』
そっと、ボイスレコーダーを取り出して。
『誕生日、おめでとう』
俺を包む光が大きくなる。
月明かりで隠されていたが、もう、俺の光を隠し切れない。
川辺に映る俺の姿は、輪郭も既に定かではなかった。
映った俺の左手の人差し指も、そこには存在していなかった。
「おめでとう、じゃないだろう…!」
「本当に君は、このまま…消えるのか」
「消えて…もう、会えないのか」
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