164:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/03/24(日) 02:47:16.41 ID:7LnCOhGJ0
「雪歩さんは――」
律子は、膝の上に置いた手を握り締めた。
「―――雪歩は、私達の事務所の現状を憂いていました。
自分が何とかして変えなくてはと、きっと自分にそう言い聞かせ、これまで頑張ってきてくれていたのだと思います」
雪歩の父は、律子の目をしっかりと見据え、黙って話を聞いている。
「アイドルのサポートをすべき私達は、事務所の問題を彼女一人に抱え込ませ、苦しめてしまいました。
私達は、プロデューサー失格です」
律子は、深々と頭を下げた。
「なら、そのプロデューサーとやらを辞めるのか」
雪歩の父は、なおも無表情に問い詰めた。
「あなたのように、ロクに身内を管理できない人間が人の上に立つべきではないだろう。
娘のような子をこれ以上出さないためにも、何か抜本的な対策が行われないことには、娘も浮かばれまい」
「たとえ辞めさせていただくとしても、何もしないまま辞める訳にはまいりません」
律子は、毅然とした態度で言った。
だんだんと、自分の中で肝が据わってくるのを感じた。
「あの子が望んだように、事務所に本当の明るさを――
苦難に恐れず立ち向かう強さを取り戻すことが、私達プロデューサーの使命と考えます。
卑怯な言い草かも知れませんが、それを果たさないまま私達が無責任に辞めてしまうのは、アイドル達のためにならないと思っております」
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