96:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/03/24(日) 00:31:03.43 ID:7LnCOhGJ0
「何で、あの時、美希ちゃんに追いつこうって――頑張ろうって、誰も思わなかったのかなぁ――!」
雪歩の目から、大粒の涙がこぼれた。
「美希ちゃんを孤立させちゃって、苦しめたのは、私達なんですぅ」
「いや、俺達だ」
プロデューサーは、雪歩の言葉を短く否定した。
「社長が言ったように、俺や律子、社長がそういう環境にしてしまった。
お前達は何も悪くない」
雪歩は、プロデューサーの顔をもう一度見た。
一瞬、チラッとこちらに向けた彼の視線は、少し悲しそうだった。
「お前が頑張っているのは、やはり美希のためなんだな?」
プロデューサーの言葉に、雪歩は「えっ」と驚きの声をあげた。
「美希を苦しめたことへの償いなのか、美希の代わりになろうとしているのか――
無理に打ち明けることも無いが、お前の中には、まだ美希がいるんだな」
雪歩は、しばらく黙り込んだ後、静かに頷いた。
「よし、分かった」
急に、プロデューサーが明るい声を出した。
「ちょっと俺、暇を見つけて美希に会いに行くよ。
連れ戻せるかどうかは分からんが、もう一度話をしてみるさ」
プロデューサーは左手をハンドルから放し、呆然としている雪歩の頭まで伸ばして乗せた。
「美希が戻ってくれば、お前も一人で頑張る事も無いもんな」
「意地の悪い事を言って、悪かった」
最後にポツリと謝るプロデューサーに、雪歩は泣きながら首を振った。
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