3:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/03/24(日) 21:25:17.49 ID:mvOgZccS0
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昔から、こうだったわけじゃない。
姉の過保護な面が表立って見えてくるようになってから、少しずつ、私の姉に対する態度が変わっていった。
姉はいつでもどこでも優等生だった。
誰がどう見たって立派な姉で、はじめは、そんな姉が私を大切にしてくれることが純粋に嬉しかった。
私にとって姉は、自慢の姉だったのだ。
たぶん、物心がつく頃には両親が離婚し、私たち姉妹を引き取った母親が働きに出るようになったからだと思う。
姉はそれ以来、ずっとずっと私の面倒を母の代わりに見てきてくれた。
愛情を、ひたすらに、私が真正面からわかるくらいにずっと、注いでくれていた。
けれど、歳を重ねるにつれてその存在が私をつきまとうようになる。
私という存在に、おおいかぶさろうとする。その愛情が、私の前の壁となっていく。
「あなたのお姉さんはとってもいい子だったし、あなたのこと自慢の妹って言ってたのよね」
「あの子の妹なのだもの、期待してるわね」
そんな、ことばかり。
私は、あの人とは違うのに。
嫉妬というよりも、自分という存在が姉によって引き上げられていることに憤りを感じていた。
勝手に一人歩きする、「あの人の妹」というある意味完璧にも思われているような自分の存在が、そうして必死にそれを演じようとしている自分自身に対して、嫌気がさすようになったのだ。
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