8:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga sage]
2013/03/25(月) 21:56:26.15 ID:d5tGG4Gs0
  
 俺はあまり、ホラーだとか、怪談だとかは得意ではない。 
 最近やっと小梅のプロデュースで慣れてきた、という感じだった。 
  
 『こ、小梅…その、どうだ?う、上手く…やれそうか?』 
  
 「うん、うん…!あ、ありがとう…すごく、楽しい…です」 
  
 普通、逆ではなかろうか。 
 少しだけ怯える自分に情けなさを感じていた。 
 撮影機材の準備をはじめるスタッフさんを横目に、俺たちも準備をし始めた。 
  
 はい!では、はじめますよ。白坂さん、よろしくお願いします。 
 番組プロデューサーの声で、一斉に現場に緊張感が漂ってきていた。 
 俺は寒気を覚えていたが、あの時は冬で気にも留めていなかった事を後悔する。 
  
 「は、はい…こ、今回は、あの、有名な心霊スポットに来ています…」 
  
 いつもより発声がはっきりしている。気分が高揚しているのが見て取れる。 
  
 「…まずは、周辺…から、です…あ、いる…」 
  
 何がいるのだろうか。いても構わないが、俺には見えない位置にいて欲しい。 
 確かに霊気を感じます、という霊媒師のインタビューを挟んで、更に続けられた。 
  
 「で、では…中に、入りたいと思います」 
  
 カメラが回っていないところでも、小梅はとても嬉しそうだった。 
 たまに何もない…はずのところを見つめて笑っているのが俺の不安を煽った。 
  
 しかし…『入ります』ではなく『入りたい』なのか。 
  
  
38Res/31.38 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 
板[3] 1-[1] l20 
	このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
	もう書き込みできません。