過去ログ - 京太郎「俺が奴隷扱いされてるっていう噂が流れてる?」
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879: ◆CwzTH05pAY[saga]
2013/12/25(水) 22:57:37.48 ID:TxZiIDS3o
新種の生命体と対話した次の日、俺は予定時間の15分ほど前に指定の店に着いていた。
部のメンバーはもうそろそろ会場入りしているころだろう。
俺はこのことを報告するか悩んだが、結局黙っていた。
ここに来ることを適当にごまかして、皆とは現地で合流する手はずになっている。
本来であればこんな状況だしちゃんと話すべきだと思ったんだが……。

京太郎「言えないよなぁ、やっぱり」

あの癖っ毛たくましいポンコツ娘の顔を思い浮かべると、どうしてもその気になれなかった。
そんな感じで、心にしこりを抱えながら水をすすっているとドアベルが小さく鳴った。
ちらりと視線を向ける

京太郎「(あぁ、やっぱり)」

まさか、という気持ちはあったが、やはり想像通りの人がそこにいた。
その人は店内をきょろきょろと見回し、俺の姿を見つけるとゆっくりと近づいてくる。
そして、少しの沈黙の後に口を開いた。

?「須賀、京太郎君?」

京太郎「はい、そうです」

?「はじめまして、宮永照と言います」

咲、やっぱりお前には言えないよ。
お前のお姉さんと会ってくるなんて。

咲に姉がいるのは知っていた。
それと同時に二人の間に簡単に口に出せないような『何か』があるのも知っていた。
そもそも離れて暮らしているのだ、いろいろあるんだろう。
中学の時、家族の話になったら咲が露骨に辛そうな顔をしていた時以来、咲に家族の話はしないようにしてきた。
友人とは言え、触れてはいけないところ、触れてほしくないところってのは誰にだってあるだろう。

そう、だからここに来ることを言えなかった。

照「来てくれてありがとう」

京太郎「いえ……」

俺の向かいの席に座る……この人を何と呼べばいいのだろう?
宮永さん? 当たり障りないが、咲のことを名前で呼んでるせいでなんとも変な感じだ。
照さんとか? いや、初対面で下の名前は馴れ馴れしすぎだろう。
チャンプ? お互いに恥ずかしすぎだろ。
あいつが言ってたテルー? 命を大切にしない奴はうんにゃらっていうあのセリフを思い出すな。

どう口火を切ればいいのかわからず俺は手元の水に口を付けた。

照「何か飲む?」

京太郎「あ……えと、はい」

照「コーヒーでいい?」

京太郎「大丈夫、です」

どうにも緊張する。
そもそも女の子と二人でお茶をするなんて初めて……いや、咲は例外ね。
いや、女の子っていうのも何か微妙だ。
相手は年上の人だし、見た目からも『女の子』というより『女性』と言ったほうがしっくりする。
水を持ってきた店員さんに対して穏やかに注文する姿はとても大人っぽく感じた。
年齢としては2歳しか違わないのに、不思議だ。



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