過去ログ - フィアンマ「許されるのなら、もう一度だけ」
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10: ◆2/3UkhVg4u1D[saga]
2013/03/28(木) 00:50:55.18 ID:/fMxNpIV0


七月十九日。
右方のフィアンマは、水中で目を覚ました。
状況がわからず、困惑しながらも上がる。

「げほ、っ」

水と息を吐き出し、荒い息を繰り返す。
のろのろと手を伸ばし、掴んだのは、階段の手すり。
彼が浸かっていた、否、浸かっているのは、プールの水だった。
濡れて張り付く髪を後ろへ流し、フィアンマは混乱する。
咄嗟に今使用した右腕も、義手の類ではなく、生身の、自分の腕だ。
視線を下に下げる。フィアンマは水着を着用していたようだ。
即ち、一人で、プールで悠々と遊んでいたということになる。

「…どういう事だ」

日差しが眩しく照りつけてくる。
十月、或いは十一月の空気や、天気ではない。
どう考えても七月頃の空気だった。
フィアンマはひとまずプールから出、周囲を見渡して状況を確認しながら、着替える。
普段の服に着替えて、鏡を見てみる。何の遜色も無く、自分自身だった。

どういう事だ。
どうなっている。

ぐるぐると渦巻く思考に、フィアンマは髪をかき乱したくなる。
我慢しつつタオルで丁寧に髪を拭き、聖ピエトロ大聖堂へと戻ってみた。
何も壊れていないし、騒ぎにもなっていない。

(昏睡状態になり、数年経過……いや、違うか)

それなら、プールの中には居ない筈。
単純に0と1の思考で状況判断をしてみたが、やはりわからない。



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