過去ログ - フィアンマ「許されるのなら、もう一度だけ」
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◆2/3UkhVg4u1D
[saga]
2013/03/28(木) 00:50:04.53 ID:/fMxNpIV0
右肩の断面が、ジクジクと痛む。
冷えて凍っているが故に、出血はしていないようだ。
金髪の青年に背負われ、ぼんやりと思考する。
独り言を漏らしたところで、誰にも責められはしないだろう。
「……俺様は、間違えたんだな」
掠れた声が、白く空気に溶ける。
全世界から拒絶されたことを、肌に感じている。
それだけのことをしたということも、わかっていた。
本当に世界を救いたかったのなら、悪意に善意が打ち勝ったこの状況を、喜ばなければならなかった。
あの男はそう言った。
あの時、自分は何を考えていただろう。
誰も何も信じられないまま、救済に固執した。
世界から救済を拒絶され、投げやりになった。
あの時、確かに自分という人間は死んだ。
少なくとも、魔術師としての死は迎えた事だろう。
ずっと昔に決めた魔法名を、口の中で繰り返す。
これを達成したかったのなら、もっと方法があったはずだ。
誰も犠牲を出さない、もっと別の方法があったはずだ。
それだけじゃない、世界を救うなら、世界を追い詰めなくても良かった筈だ。
間違えた。間違えたんだ。
失敗した。しくじった。
世界を見なくても、自分が間違っていた事だけはわかる。
息が苦しい。誰かに首を絞められているかのようだ。
「……産まれてこなければ良かった」
『世界を救える程の力』。
『世界を救う為の力』。
不完全なそれを持った。
こんな力が無ければ。
いいや、そもそもこの力の使い方を間違えるような自分という存在さえ居なければ。
「産まれてこなければ、……」
誰も傷つけないで済んだ。
こんな人生に、何の価値があっただろう。
全ての努力をつぎ込んできた分、苦しみの反動がやって来る。
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